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薬屋のひとりごと

【全48話一覧】薬屋のひとりごとの英語タイトルは?The Apothecary Diariesのシーズン構成・各話サブタイトル・劇場版まで解説

「薬屋のひとりごとの各話サブタイトルって、英語だと何ていうの?」「海外の記事に出てくる Season 3 の split cour って結局いつのこと?」「劇場版の英語タイトルが知りたい」——薬屋のひとりごとを英語で追いかけようとすると、多くの方がこの壁にぶつかります。結論からお伝えすると、作品の公式英題はThe Apothecary Diaries、TVアニメは第1期が全24話・第2期が全24話(通算48話)第3期は2026年10月から分割2クールで放送予定、そして劇場版は2026年12月11日公開予定です。この記事では、日本語のサイトではまず見つからない全48話ぶんの英語サブタイトルをまるごと一覧化し、シーズン・章(arc)・劇場版の英語表記まで、英語版Wikipedia・アニメ公式サイト・The Apothecary Diaries Wiki(kusuriya.fandom.com)で一次確認したうえで整理しました。筆者は留学経験なしでTOEIC990点・VERSANT76点(80点満点中)を取得し、前職では海外事業を担当していました。薬屋×英語の全体像は薬屋のひとりごとは英語で何という?完全ガイドにまとめていますので、あわせてご覧ください。

なお、実際に英語音声・英語字幕で薬屋のひとりごとを観たい方へ。前提として、日本から普通に配信サービスを開くと日本向けのカタログしか表示されず、英語音声を選べない作品がほとんどです。そこで使われるのがVPNで、NordVPNでアメリカなど英語圏のサーバーに接続し、その状態でいつも通り配信サービスを開くと、英語音声・英語字幕で視聴できるようになりますNordVPN)。具体的な手順は記事後半で改めて紹介します。


薬屋のひとりごとの英語タイトルは「The Apothecary Diaries」|まず全体像を早見表で

まず大前提として、作品そのものの英語タイトルを押さえましょう。結論として、『薬屋のひとりごと』の英語版タイトルはThe Apothecary Diariesです。アニメを世界配信するCrunchyroll、英語版ライトノベルのJ-Novel Club、英語版コミックスのSquare Enix Manga & Books——媒体をまたいで表記がきれいに統一されているのがこの作品の特徴で、進撃の巨人のような訳語の揺れがありません。英語版Wikipediaは原題の直訳として「Apothecary's Soliloquy(薬屋の独白)」を注記していますが、実際に流通しているのはあくまで The Apothecary Diaries のほうです。作品名そのものの意味や語源については薬屋のひとりごとは英語で何という?完全ガイドで詳しく掘り下げています。

では、映像作品の全体像を一枚の表で押さえましょう。以下は本記事執筆時点(2026年7月)の情報です。

区分日本語表記英語での呼ばれ方話数・時期
TVアニメ第1期薬屋のひとりごとThe Apothecary Diaries (Season 1)全24話/2023年10月〜2024年3月
TVアニメ第2期薬屋のひとりごと 第2期The Apothecary Diaries Season 2全24話/2025年1月〜7月
TVアニメ第3期薬屋のひとりごと 第3期The Apothecary Diaries Season 3分割2クール/2026年10月〜放送予定
劇場版劇場版 薬屋のひとりごと 亡妃の秘宝The Apothecary Diaries: The Deceased Empress' Treasure2026年12月11日公開予定
ミニアニメ薬屋のひとりごと ミニアニメ「猫猫のひとりごと」(公式英題は未確認)各話1〜2分・YouTube配信

「Season 1」「Season 2」という言い方は、公式が英語のサブタイトルとして掲げているものではなく、配信サイトや各国のデータベースが整理上そう呼んでいるものです。日本語の公式表記はあくまで「第1期」「第2期」であり、作品名に Season という語が組み込まれているわけではありません。ここからは1階層ずつ掘り下げていきます。


【結論】シーズン構成は第1期24話・第2期24話・第3期は2026年10月から

シーズン構成の結論を先にまとめます。薬屋のひとりごとのTVアニメは、第1期・第2期ともに「連続2クール・全24話」というきれいに揃った構成で、通算では48話。第3期だけは分割2クールになる予定です。数字が揃っているぶん、進撃の巨人やフリーレンのような「どこで区切るか問題」が起きにくいシリーズだと言えます。順に見ていきましょう。

第1期(2023年10月〜2024年3月/全24話)

第1期は2023年10月22日から2024年3月24日まで、日本テレビ系列で全24話が放送されました。制作はTOHO animation STUDIO×OLM。初回は第1話から第3話までを一挙放送するという、いきなりの3話連続スタートでした。英語版Wikipediaのエピソード一覧でも、第1〜3話の放送日はすべて2023年10月22日で並んでいます。

細かい話ですが、放送開始日は情報源によって「10月21日」とも「10月22日」とも書かれています。これは日本テレビの番組表が深夜枠を「10月21日25時05分」と表記しているためで、実際の時刻は10月22日午前1時05分。英語版Wikipediaは注記を添えたうえで10月22日を採用し、kusuriya.fandom.com のインフォボックスは10月21日を採用しています。海外サイトで日付が1日ずれていても、どちらも同じ回を指しています。

第2期(2025年1月〜7月/全24話・通し25〜48話)

第2期は2025年1月10日から7月4日まで、日本テレビ系列の「FRIDAY ANIME NIGHT」枠で全24話。シリーズ通算では第25話から第48話にあたります。第1期と同じ連続2クールで、話数も同じ24話という、非常に見通しのよい構成です。

英語圏の記事で「Season 2, Episode 12」と書かれていたら、それは通算では第36話のこと。海外のエピソード表は「通算話数」と「シーズン内話数」の両方が併記されているのが普通なので、どちらの数字を見ているのかだけ意識しておけば混乱しません。なお第2期は途中に放送休止週があり、第19話(通算43話)が2025年5月23日、第23話(通算47話)が6月27日と、週が一つ飛んでいる箇所があります。

第3期(2026年10月〜/分割2クール)※本記事執筆時点では未放送

第3期は、本記事執筆時点(2026年7月)ではまだ1話も放送されていません。「放送済み」と書いている情報を見かけても鵜呑みにしないでください。公式に発表されている内容は次のとおりです。

  • 発表は2025年10月22日、放送2周年を記念した特別イベントの場。
  • 分割2クール(split cour)での放送。
  • 第1クールは2026年10月から第2クールは2027年4月から、いずれも日本テレビ系列で放送予定。

第3期の総話数は公式には発表されていません。英語版Wikipediaの一覧表は「合計24話・第2クールは12話」として枠を用意しており、kusuriya.fandom.com も通算49話目からの欄を設けていますが、これらは編集者による整理であって公式発表ではありません。また海外メディアは第3期が「西都編」を映像化すると予想していますが、これも公式発表ではなく推測です。英語のサブタイトルが付くのかどうかも含め、最新情報は公式サイトとCrunchyrollの告知でご確認ください。

劇場版『亡妃の秘宝』(2026年12月11日公開予定)※本記事執筆時点では未公開

そして2026年最大のトピックが劇場版です。日本語の正式タイトルは『劇場版 薬屋のひとりごと 亡妃の秘宝』(ぼうひのひほう)、英語タイトルはThe Apothecary Diaries: The Deceased Empress' Treasure2026年12月11日に日本で公開予定であり、本記事執筆時点(2026年7月)ではまだ公開されていません。

タイトル・キャスト・公開日が解禁されたのは2026年7月2日、予告映像の公開と同時でした。原作者・日向夏氏による完全新作ストーリーで、公式サイトのキャッチコピーは「その謎が、かくされた宝へと導く」。あらすじは公式サイトによれば、5年前に後宮で亡くなった妃を故郷へ帰すという勅命を受けた壬氏と猫猫が、南の地へ旅立ち、たどり着いた水上都市で隠された財宝と水賊をめぐる事件に巻き込まれていく——というもの。なお、作中に登場する一族名・地名の英語表記は本記事執筆時点で未発表です。海外Wikiにある似た名前の一族とは別物なので、英語での言及は公式発表を待つのが安全です。


【一覧表】第1期 全24話の英語サブタイトル

ここからが本記事の本体です。日本語のサイトでは意外と見つけにくい各話の英語サブタイトルを、全48話ぶん一覧化していきます。まず第1期から。以下は英語版Wikipedia「List of The Apothecary Diaries episodes」と kusuriya.fandom.com のエピソード表で確認できる表記です。

話数日本語サブタイトル英語サブタイトル
第1話猫猫Maomao
第2話無愛想な薬師Chilly Apothecary
第3話幽霊騒動The Unsettling Matter of the Spirit
第4話恫喝The Threat
第5話暗躍Covert Operations
第6話園遊会The Garden Party
第7話里帰りHomecoming
第8話麦稈Wheat Stalks
第9話自殺か他殺かSuicide or Murder?
第10話蜂蜜Honey
第11話二つを一つにReducing Two to One
第12話宦官と妓女The Eunuch and the Courtesan
第13話外廷勤務Serving in the Outer Court
第14話新しい淑妃The New Pure Consort
第15話Raw Fish
第16話Lead
第17話街歩きA Jaunt Around Town
第18話羅漢Lakan
第19話偶然か必然かChance or Something More
第20話曼荼羅華Thornapple
第21話身請け作戦How to Buy Out a Contract
第22話青い薔薇Blue Roses
第23話鳳仙花と片喰Balsam and Woodsorrel
第24話壬氏と猫猫Jinshi and Maomao

第1期のサブタイトルは、漢字二文字の硬い名詞(恫喝・暗躍・麦稈・鱠・鉛)と、平易な日本語(里帰り・街歩き)が交互に並ぶ構成になっています。英題を眺めると、前者はきっちり名詞句で受け、後者はやわらかい英語に置き換えられているのが分かります。


第1期のサブタイトルで学ぶ英語表現

一覧を眺めるだけではもったいないので、そのまま単語帳として使える英題をピックアップして解説します。

第2話 Chilly Apothecary/第3話 The Unsettling Matter of the Spirit

第2話「無愛想な薬師」はChilly Apothecarychilly は「肌寒い」が第一義ですが、人の態度について使うと「よそよそしい・素っ気ない」という意味になります。a chilly reception(冷ややかな歓迎)のように使う語で、cold より少しだけ柔らかい響き。猫猫の「無愛想」という、敵意ではなく単に人づきあいに関心がないだけの温度感に、ぴたりと合っています。ちなみに apothecary(薬屋・薬師)という古語をなぜ選んだのかは、薬屋のひとりごとは英語で何という?完全ガイドで語源から解説しています。

第3話「幽霊騒動」はThe Unsettling Matter of the Spirit。日本語はたった4文字なのに、英語は6語に膨らんでいます。unsettling は settle(落ち着かせる)に否定の un- が付いた形で「(気持ちを)ざわつかせる・不穏な」。the matter of 〜 は「〜という一件・〜の件」を表す、ミステリー小説のタイトルによく出てくる型です。「騒動」を uproar のような騒がしい語ではなく、matter という中立的な語で受けたことで、ホラーではなく謎解きの話ですよ、という予告になっているのが上手いところです。

第5話 Covert Operations/第9話 Suicide or Murder?/第11話 Reducing Two to One

第5話「暗躍」のCovert Operationsは、そのまま現代のニュース英語で使える語です。covert(隠密の・秘密裏の)は cover と同語源で、発音は「コウヴァート」。反対語は overt(公然の)。covert operation は諜報の世界で「秘密工作」を指す定型表現で、CIAやMI6を扱った記事に必ず出てきます。日本語の「暗躍」という二文字を、実在の専門用語にきれいに着地させた訳です。

第9話「自殺か他殺か」はSuicide or Murder?。日本語は「自殺/他殺」と対になる漢字を並べていますが、英語には「他殺」に直接対応する日常語がありません(法医学用語の homicide はありますが硬すぎます)。そこでmurder(殺人)という一語で受けているわけです。第19話「偶然か必然か」=Chance or Something More も同じ悩みの産物で、「必然」を inevitability のような硬い抽象名詞ではなく、something more(それ以上の何か)という含みのある言い方でかわしているのが見事。直訳を捨てた瞬間に英語らしくなる、いい例です。

第11話「二つを一つに」はReducing Two to Onereduce A to B は「AをBに減らす・還元する」という型で、reduce costs(コストを削減する)のように使います。日本語の「〜を〜に」という助詞の関係が、英語では reduce 〜 to 〜 という動詞の型で表現されている点に注目してください。動名詞で始まるタイトルは、英語では「〜すること」という手順・作業のニュアンスを帯びます。

第14話 The New Pure Consort/第15話 Raw Fish/第17話 A Jaunt Around Town

第14話「新しい淑妃」はThe New Pure Consortconsort は「(君主の)配偶者」を指す語で、この作品の英語版では妃を表す基本語として使われています。四夫人の称号のうち「淑妃」が Pure Consort と訳されているわけですが、四夫人の称号の英訳はライトノベル版と漫画版で割れることがあるので、一覧で確認したい方は薬屋のひとりごと 後宮・薬学用語の英語一覧をご覧ください。

第15話「鱠」はRaw Fish。なますは生魚を細く切って酢で和えた料理ですが、英語では料理名を訳さず「生魚」という素材名に置き換えているのが面白いところです。sashimi のように英語に定着している語ならそのまま使えますが、なますは知名度が足りない。ここで「Namasu」と書いても伝わらないと判断したのでしょう。なお、この回の日本語表記は媒体によって「鱠」と「膾」に分かれています。どちらも「なます」と読む異体字の関係で、日本の芸能メディアでも表記が割れています。

第17話「街歩き」のA Jaunt Around Townもいい訳です。jaunt は「ちょっとした遠出・ぶらり旅」を表す、やや古風で軽やかな響きの名詞。walk でも stroll でもなく jaunt を選んだことで、「猫猫が久しぶりに宮廷の外へ出る、心弾む小さな冒険」という気分まで乗っています。英検1級レベルの単語ですが、こうやって場面ごと覚えると忘れません。

第20話 Thornapple/第23話 Balsam and Woodsorrel|植物名がそのまま英題になる作品

薬屋のひとりごとの英題一覧を通しで眺めていて気づくのが、植物名がそのままタイトルになる回が異様に多いことです。第20話「曼荼羅華」=Thornapple、第23話「鳳仙花と片喰」=Balsam and Woodsorrel、第22話「青い薔薇」=Blue Roses、第10話「蜂蜜」=Honey、第8話「麦稈」=Wheat Stalks

thornapple(thorn=棘+apple=リンゴ)はチョウセンアサガオの英名で、棘のある実の見た目からきた名前。学名は Datura で、強い毒性と麻酔作用を持つ植物です。balsam(鳳仙花)、woodsorrel(片喰)はいずれも身近な草花の英名。薬屋のひとりごとは、英題を並べただけで植物名の単語帳ができてしまうという、英語学習者にとってかなり得な作品です。生薬・毒物の英語名をまとめて押さえたい方は薬屋のひとりごと 後宮・薬学用語の英語一覧へどうぞ。


【一覧表】第2期 全24話の英語サブタイトル

続いて第2期です。左端が第2期内の話数、括弧内がシリーズ通算の話数になります。

話数日本語サブタイトル英語サブタイトル
第1話(25)猫猫と毛毛Maomao and Maomao
第2話(26)隊商Caravan
第3話(27)冬人夏草Corpse Fungus
第4話(28)Mirror(Mirrors 表記もあり)
第5話(29)月精The Moon Fairy
第6話(30)みたび、水晶宮The Crystal Pavilion, For the Third Time
第7話(31)選択の廟The Shrine of Choosing
第8話(32)皇太后The Empress Dowager
第9話(33)先帝The Late Emperor
第10話(34)怪談A Ghost Story
第11話(35)狩りThe Hunt
第12話(36)華瑞月Ka Zuigetsu
第13話(37)湯殿The Baths
第14話(38)踊る幽霊The Dancing Ghost
第15話(39)氷菓Ice
第16話(40)巣食う悪意Festering Resentment
第17話(41)狐の里Fox Village(The Fox Village 表記もあり)
第18話(42)鬼灯Lantern Plant
第19話(43)祭りFestival
第20話(44)The Stronghold
第21話(45)蟇盆Taibon
第22話(46)禁軍Royal Guard
第23話(47)子の一族The Shi Clan
第24話(48)はじまりThe Beginning

第2期は、第1期に比べて固有名詞(華瑞月・蟇盆・子の一族)が英題に直接出てくる回が増えています。物語が後宮の内側から外の政治へ広がっていく展開が、タイトルの語彙にもそのまま表れているわけです。


第2期のサブタイトルで学ぶ英語表現

第2期の英題も、拾いどころが山ほどあります。特に面白い4つを取り上げます。

第25話 Maomao and Maomao|日本語では書き分けられるのに英語では同じになる

第2期第1話(通算25話)の日本語サブタイトルは「猫猫と毛毛」。英題はMaomao and Maomaoです。日本語では漢字が違うので一目で別物と分かるのに、英語にした瞬間まったく同じ綴りになってしまう——これは、この作品の英題を追いかけていていちばん驚いたポイントでした。

もともと中国語では「猫猫(māomāo)」と「毛毛(máomáo)」で声調が違うため区別できますが、英語のローマ字表記は声調記号を落とすので、Maomao と Maomao になってしまうわけです。日本語版なら「猫と毛」という漢字の対比が効き、中国語なら音の対比が効く。英語版だけが、この仕掛けを表記の上で再現できない。翻訳という営みの限界がきれいに見える一例で、言語ごとに「何が伝わって何が落ちるか」が違うということを、たった1つのタイトルが教えてくれます

第27話 Corpse Fungus|「冬人夏草」という言葉遊びは英語で消える

第3話(通算27話)「冬人夏草」の英題はCorpse Fungus。これも見逃せません。もともと「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」という実在の生薬があり、日本語サブタイトルはその「虫」を「」に入れ替えた造語になっています。一文字だけ変えて不穏さを出す、日本語ならではの言葉遊びです。

英語版はこれをcorpse fungus(死体に生える菌)という直截な言い方に置き換えました。corpse は「死体」、fungus は「菌類・キノコ」(複数形は fungi)。ちなみに本物の冬虫夏草の英名は caterpillar fungus(イモムシの菌)で、caterpillar を corpse に差し替えることで、日本語の「虫→人」という置換をきちんと英語でも再現しているのです。言葉遊びは訳せないと思われがちですが、構造ごと移し替えれば成立する——翻訳の腕が光る回だと思います。

第32話 The Empress Dowager/第33話 The Late Emperor|late の意外な意味

第8話(通算32話)「皇太后」はThe Empress Dowagerdowager は「(夫の死後に称号や財産を受け継いだ)未亡人」を指す語で、the Empress Dowager は中国史の文脈で「皇太后」を表す完全な定訳です。西太后が英語で Empress Dowager Cixi と呼ばれるのと同じ形。歴史ドラマや世界史の英文にそのまま出てくる語なので、覚えて損はありません

そして第9話(通算33話)「先帝」のThe Late Emperor。ここでの late は「遅い」ではなく、「故〜・亡くなった」という意味です。my late father なら「亡き父」。the late + 役職名で「先代の(故人となった)〜」を表すのは、英字新聞の訃報記事でも定番の使い方です。「先帝」という日本語がもつ「もう亡くなっている前の皇帝」というニュアンスを、late 一語で受け切っているのが鮮やかです。

第40話 Festering Resentment/第45話 Taibon|訳す語と、訳さずに残す語

第16話(通算40話)「巣食う悪意」はFestering Resentmentfester は傷が「化膿する」という医学的な動詞ですが、比喩として「(恨みや不満が)くすぶって悪化する」という意味でも使われます。festering wound(化膿した傷)と festering anger(募る怒り)が同じ語で言えるわけです。日本語の「巣食う」という、内側に居座って腐らせていくイメージに、これ以上ないほど合った語選び。医療ミステリーである本作らしい訳語だと思います。

対照的なのが第21話(通算45話)「蟇盆」=Taibon訳さずにローマ字のまま残されています。蟇盆は作中の残酷な処刑法を指す語で、対応する英単語が存在しません。ここで無理に説明的な英語を当てるより、固有名詞として提示したほうが不気味さが残る——という判断でしょう。第12話(通算36話)「華瑞月」=Ka Zuigetsu、そして第1期第18話「羅漢」=Lakan も同じく音を残す型です。訳す語と残す語の線引きを見ていくと、その翻訳チームの世界観の作り方が見えてきます。この「訳す/残す」の使い分けは用語全体にも及んでいて、薬屋のひとりごと 後宮・薬学用語の英語一覧で100語以上を整理しています。


【要注意】英語サブタイトルは情報源によって微妙に違う

ここでひとつ注意点をお伝えします。薬屋のひとりごとの英語サブタイトルは、参照する情報源によって細かい表記が違うことがあります。今回、英語版Wikipediaのエピソード一覧と kusuriya.fandom.com のエピソード表を1話ずつ突き合わせたところ、48話中4話で差が見つかりました。日本語表記のほうにも揺れがあります。

対象表記A表記B差の種類
第2期第4話(28)MirrorMirrors単数か複数か
第2期第5話(29)The Moon FairyMoon Fairy定冠詞の有無
第2期第6話(30)For the Third Timefor the Third Time前置詞を大文字にするか
第2期第17話(41)Fox VillageThe Fox Village定冠詞の有無
第1期第15話の日本語異体字(どちらも「なます」)
第1期第20話の読みMandarageMandarake「曼荼羅華」の読み方
第1期第23話の読みHōsenka to KatakumiHōsenka to Katabami「片喰」の読み方

これは「どちらかが間違い」という話ではなく、配信サービスの表示・Blu-rayの表記・各データベースの記載が完全には揃っていないことの反映です。英語で検索するときは、定冠詞 the を外して検索したほうがヒットしやすいというのが実務的なコツ。"Apothecary Diaries Fox Village" のように、the を省いた形で検索すれば、どちらの表記のページにもたどり着けます。


章(編)は英語で arc|薬屋のひとりごとの章名の英語表記

海外のあらすじ記事や考察を読むとき、避けて通れないのが「アーク(arc)」という言葉です。英語圏では日本語の「◯◯編」に相当するまとまりを arc と呼びます。もともとは「弧」の意味で、物語が立ち上がって収束するまでの曲線=story arc というわけです。

薬屋のひとりごとの章名について、英語版Wikipediaの「The Apothecary Diaries (TV series)」はあらすじをシーズンごとに次のように区切っています。

シーズン英語の章名内容の目安
第1期The Rear Palace Arc後宮での侍女生活と毒殺・医療の謎解き
第1期The Verdigris Pavilion Arc花街への里帰りと高官の死の調査
第1期The Courtesan and the Bureaucrat Arc羅漢との対峙と猫猫の出自
第2期The Inner Court Poisoning Arc宴の毒と壬氏を狙う暗殺計画
第2期The Shisui and the Clan Arc子の一族をめぐる陰謀と武力衝突

これらの章名は、公式が定めた正式名称ではなく、英語版Wikipediaの編集者があらすじを整理するために付けた見出しです。原作ライトノベルにも公式の「◯◯編」という区切りは付いていません。海外のファンサイトでは別の呼び方をしていることもあるため、あくまで目安としてご覧ください。

なお、第3期が扱うと海外メディアが予想している「西都編」については、舞台となる西都が英語で Western Capital、西方の州が Western Province と訳されているため、Western Capital Arc という呼び方が使われています。ただし前述のとおり、第3期がどの範囲を映像化するかは公式発表ではありません。


season / cour / part / arc / episode の使い分け

一覧を見ていて「season と arc はどう違うの?」「cour って何?」と気になった方も多いはずです。海外の記事を読むときに必須の語彙なので、ここで整理しておきましょう。

  • season:放送単位の「期」。Season 1=第1期、Season 2=第2期。英語圏ではこの区切りがいちばん一般的です。
  • cour:日本語の「クール」がそのまま英語に輸入された語で、約3か月=12〜13話のまとまりを指します。薬屋の第1期・第2期は two consecutive cours(連続2クール)、第3期は split cour(分割2クール)と説明されます。アニメファン以外の英語ネイティブには通じないことがある専門語です。
  • split cour1クール放送して数か月休み、また1クール放送する形式。第3期がこれにあたります。「分割2クール」の直訳ではなく、英語圏でも定着した言い方です。
  • part:Part 1 / Part 2 のように、シーズンを2つに割った呼び方。作品によっては split cour の各クールを Part と呼ぶこともあります。
  • arc:物語のまとまり=「◯◯編」。season の中に複数の arc が入ります。
  • episode:1話。ep. と略され、S2E12(Season 2, Episode 12)のように書かれます。

つまり、Season 2 という放送単位の中に複数の arc があり、その arc が複数の episode で構成されているという入れ子構造です。日本語の「編」を chapter と訳したくなりますが、英語では章のまとまりは arc、漫画の1話ぶんが chapterという使い分けなので、ここを取り違えないようにしましょう。英語版コミックスの読み方は薬屋のひとりごと 英語版漫画で英語学習でまとめています。


劇場版『亡妃の秘宝』の英題 The Deceased Empress' Treasure を読み解く

ここからは、2026年7月2日に解禁されたばかりの劇場版の英題を分解してみましょう。日本語の「亡妃の秘宝」がわずか5文字なのに対し、英語は The Deceased Empress' Treasure と4語。それぞれの語に、翻訳上の判断が詰まっています。

なぜ「妃」が Empress なのか

まず引っかかるのがEmpressという語です。英語で empress は本来「皇后」または「女帝」を指す語で、多数いる妃の一人を指すなら consort のほうが正確なはず。実際、TVシリーズの英語版は妃を Consort(Pure Consort など)と訳し分けてきました。

にもかかわらず映画のタイトルが Empress になっているのは、おそらく英語圏の観客に「宮廷の高貴な女性」という格を一瞬で伝えるためでしょう。Consort's Treasure と言われても、英語話者にはピンと来ません。Empress なら誰でも「皇帝の妃」と分かる。正確さより通じやすさを優先した、映画タイトルらしい判断だと言えます。ただし作中の身分呼称としては consort が正しいので、本編を英語で観るときに混同しないようご注意ください。妃の位階の英語表記は薬屋のひとりごと 後宮・薬学用語の英語一覧で整理しています。

the deceased = 硬い英語の「亡き」

deceased は「亡くなった・故〜」を表す形容詞で、dead よりずっとフォーマルな語です。法律文書・訃報・保険の書類など、公的な文脈で使われる語彙で、the deceased だけで「故人・被害者」という名詞にもなります(the + 形容詞で人を表す型ですね)。

日本語の「亡妃」も、「死んだ妃」ではなく漢語で格を出した言い方。硬さのレベルまで揃えて訳している点が丁寧です。前述の第33話「先帝」=The Late Emperor が late を使っていたのに対し、こちらは deceased。late は人名・役職の前に置く形容詞、deceased は名詞の前でも the deceased 単独でも使えるという違いがあり、並べて覚えると整理しやすくなります。

treasure と the treasure|「秘宝」の訳し方

treasure は「宝・財宝」。日本語の「秘宝」には「秘められた」という要素が入っていますが、英題は hidden や secret を足さず、所有格 the Deceased Empress' で修飾するだけにとどめています。「亡き妃の宝」——それだけで、なぜ隠されていたのかという謎が立ち上がるからです。

ここで文法的に押さえておきたいのが、Empress' というアポストロフィだけの所有格。s で終わる語の所有格は、Empress's と Empress' の両方が認められており、英語圏でも媒体によって流儀が分かれます。公式英題は後者を採用しました。英語のタイトル表記でアポストロフィだけが付いていたら、それは所有格であると読めるようにしておくと、海外のニュース記事がぐっと読みやすくなります。

なお、この劇場版の主題歌は本記事執筆時点(2026年7月)ではまだ発表されていません。ただしTVシリーズのOP/ED全8曲には、「花になって」=Be a flower、「アイコトバ」=The Spell、「百花繚乱」=In Bloom のように公式の英題がきちんと付いており、作品タイトルとはまた違う訳し方が見られます。曲名の英題と意味は薬屋のひとりごと 主題歌・OP/EDの英語まとめで1曲ずつ解説していますので、タイトル翻訳の比較としてもおすすめです。


ミニアニメ「猫猫のひとりごと」の英語タイトル

見落とされがちですが、本編とは別に公式のショートアニメ『薬屋のひとりごと』ミニアニメ「猫猫のひとりごと」がYouTubeで配信されています。1本1〜2分で、猫猫が毒や生薬について語る形式。本編以上に「薬学英単語の宝庫」で、英語学習者にはむしろこちらのほうがおいしいコンテンツです。

ただし重要な注意点があります。ミニアニメには公式の英語タイトルが存在しません。海外Wikiに載っている英題はファンによる翻訳であり、Wiki自身も「公式訳ではない」と明記しています。以下は「こういう内容の回がある」という参考として、英語表記は非公式のものとしてご覧ください。

日本語タイトル参考英訳(非公式)扱う題材
おしろいFace Powder鉛白と鉛中毒
冬虫夏草Caterpillar Fungus実在の生薬
鳥兜の花と蜜Aconite Flower and Nectarトリカブト
牛黄Ox Bezoar牛の胆石を使った生薬
熊胆Bear Gall熊の胆嚢
雄黄Orpiment硫化ヒ素の鉱物
もぐさMugwortヨモギ・お灸
Hair Stickかんざし

bezoar(結石)、orpiment(石黄)、mugwort(ヨモギ)といった語は、辞書を引かずに一生を終える人がほとんどの単語です。それが1分半のアニメで頭に入ってしまう。ミニアニメ本編は日本語音声ですが、題材の英名を先に知っておくと、英語版Wikipediaで元ネタをたどる楽しみが増えます


英語タイトルは「検索キー」として使うと効く

ここまで英題を並べてきましたが、正確な英語タイトルを知っていることの最大の実利は、英語の情報にたどり着けるようになることです。筆者が実際にやっている使い方を3つ紹介します。

  1. スクリプト(セリフ全文)を探す:「The Apothecary Diaries script」や「The Apothecary Diaries transcript」で検索すると、英語のセリフを文字起こししたページが見つかります。話数の英題(たとえば "Chilly Apothecary")を添えると、目当ての回にピンポイントで飛べます
  2. 英語版Wikipediaで元ネタをたどる:Thornapple、Corpse Fungus、Orpiment のような英題をそのまま英語版Wikipediaで引くと、その植物・鉱物・毒物の学名や毒性、歴史上の使用例まで英語で読めます。アニメを入り口にした「本物の英文リーディング教材」です。
  3. 海外の感想を読む:Reddit などで "Apothecary Diaries S2E12" のように検索すると、その回の海外の反応が読めます。英語のスラングやリアクション表現が大量に手に入るので、教科書には載らない生きた英語の宝庫になります。

そして筆者が最も効果を感じたのが、拾ったセリフをAIに投げる方法。ChatGPTなどに「このセリフのニュアンスと文法を解説して」と貼り付けるだけで、辞書には載っていない語感や文化的背景まで説明してくれます。英題を正確に知っているかどうかが、この一連の流れの入口を開けるかどうかを決めます。名台詞の英訳をまとめて見たい方は薬屋のひとりごとの英語名言・セリフ集もどうぞ。


英語タイトルを入り口に薬屋のひとりごとを英語で楽しむ方法

「英語タイトルが分かったので、実際に英語音声・英語字幕で観てみたい」という方に向けて、視聴方法と学習法を整理します。前提として、日本から普通に配信サービスを開くと日本向けのカタログしか表示されず、英語音声を選べない作品がほとんどだという壁があります。そこで使うのがVPNで、手順は次の3ステップだけです。

  1. NordVPNでアメリカなど英語圏のサーバーに接続する
  2. その状態で、いつも通り配信サービス(Crunchyrollなど)を開く(海外からアクセスしているように扱われます)
  3. 英語音声・英語字幕を選んで薬屋のひとりごとを視聴する

この流れで、普段お使いのアカウントのまま海外版カタログの英語音声・字幕にアクセスできるようになります(NordVPN)。VPN接続は、英語版アニメを視聴するための実質的な前提条件で、NordVPNはVPNサービスの中でも人気が高く、初めての方にも選ばれやすいのが特徴です。英語吹き替えについては、第1期が2023年11月から、第2期が2025年1月からCrunchyrollで配信開始されており、日本での放送からおおむね2週間遅れで英語版が出るというペースでした。配信サービスや対応地域・作品ラインナップは時期によって変わります。第3期と劇場版の英語配信・英語吹き替えについては本記事執筆時点(2026年7月)で発表がないため、視聴前に必ず各サービスの最新の案内をご確認ください。サービス別の詳しい比較は薬屋のひとりごとを英語で見る方法で解説しています。

英語で観る環境が整ったら、筆者が実践していた学習法も試してみてください。ひとつは反復学習法で、VODアプリのダウンロード機能・バックグラウンド再生を使えば、通勤や家事の合間に同じエピソードを繰り返し聴けます。薬屋のひとりごとは会話の情報密度が高いぶん、1回で聴き取ろうとすると挫折しがち。3周目あたりから急に耳が慣れてくる作品です。もうひとつは前章で触れたスクリプト×AI活用法「好きな作品だからこそ、話の内容を大体知っていて英語に集中しやすい」——これがアニメで英語を学ぶ最大の強みです。キャラクター名の英語表記を先に押さえておくと聴き取りが一段楽になるので、薬屋のひとりごと キャラクター英語名一覧もあわせてご覧ください。


まとめ|薬屋のひとりごとの英語タイトル早見まとめと関連記事

この記事では、薬屋のひとりごとの英語タイトルを階層ごとに整理しました。作品名はThe Apothecary Diaries(直訳注記は Apothecary's Soliloquy)。TVアニメは第1期が全24話(2023年10月〜2024年3月)、第2期が全24話(2025年1月〜7月、通し25〜48話)で、第1期・第2期ともに連続2クール・24話ずつという、シリーズとして非常に見通しのよい構成です。第3期は2026年10月から分割2クールで放送予定(第2クールは2027年4月から)、劇場版『劇場版 薬屋のひとりごと 亡妃の秘宝』=The Apothecary Diaries: The Deceased Empress' Treasure は2026年12月11日公開予定で、いずれも本記事執筆時点(2026年7月)では未放送・未公開です。

各話の英題を通しで眺めると、この作品の翻訳方針が見えてきます。Covert Operations や The Empress Dowager のように実在の専門用語へきっちり着地させる一方、Taibon や Ka Zuigetsu のように訳さず音を残す語もある。そして Corpse Fungus のように、日本語の言葉遊びを構造ごと英語に移し替えた回もある。第25話の Maomao and Maomao が示すように、英語にした瞬間に落ちてしまう仕掛けがあることまで含めて、英題を追いかけるのは翻訳という営みを観察する最高の教材だと思います。

英語タイトルを入り口に、ぜひ英語版の『薬屋のひとりごと』にも触れてみてください。

  • この記事を書いた人

YOSHI

アニメ・海外ドラマ・サッカーなどエンタメで楽しく英語学習中。留学経験はなし。大学時代に英語を始めて就職後は海外事業を担当。現在は独立してフリーランス。2児の父。TOEIC990。VERSANT76。

-薬屋のひとりごと

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