『リメンバー・ミー』の名言を英語で知りたい——そう思って検索すると、日本語と英語がセットで並んだページはたくさん出てきます。ところが実際に本編の英語音声と突き合わせてみると、紹介されている英文が実際の台詞と違っていたり、話者が取り違えられていたりすることが少なくありません。
そこでこの記事では、公式脚本(Disney・Pixarの Full Academy Script)に書かれた話者表記と、本編の書き起こしの両方を照合し、「誰が」「どの場面で」言ったのかまで確認できたセリフだけを紹介します。日本語訳は公式字幕・吹替の逐語ではないので、すべて学習用の訳例として添えています。
最初にひとつだけ結論を言っておくと、この作品でもっとも有名な一言 The music, it's not just in me, it is me. は、主人公ミゲルの台詞ではありません。詳しくは本文で解説します。
紹介したセリフは、Disney+に加入すればその場で確かめられます。日本のアカウントのまま、再生画面の設定で音声と字幕をEnglishに切り替えるだけ。海外Netflixのように接続先の国を変えるVPNは必要ありません。気になった方はDisney+で実際の音を聞いてみてください。
留学経験なしでTOEIC990点・VERSANT76点(80点満点中)まで英語を伸ばした筆者YOSHIが、名言をきっかけにした英語の学び方まであわせてご紹介します。
Contents
- 1 『リメンバー・ミー』の名言を英語で読む前に
- 2 【エルネスト・デラクルス】夢とチャンスを語る名言
- 3 【デラクルス】憧れが裏返る瞬間の名言
- 4 【ミゲル】夢と家族のあいだで揺れる少年の名言
- 5 【ヘクター】「忘れられること」を語る名言
- 6 【ママ・イメルダ】家族を守る強さの名言
- 7 【リヴェラ家】アブエリータとパパの名言
- 8 ラストを締める2つの名言
- 9 よく誤って広まっている英文に注意
- 10 Salud! と I would move Heaven and Earth for you, mi amigo.|乾杯のセリフ
- 11 名言に混ざるスペイン語をどう読むか
- 12 名言から学べる英語表現まとめ
- 13 名言を英語音声で確かめる方法|Disney+ならVPN不要
- 14 名言で英語を伸ばす学習法
- 15 『リメンバー・ミー』の名言についてよくある質問
- 16 まとめ|名言は「誰が・どこで」まで分かると効く
『リメンバー・ミー』の名言を英語で読む前に
英語のセリフが「原文」で、日本語吹替はその翻訳
『リメンバー・ミー』はもともと英語で制作された作品なので、英語のセリフこそが原文です。日本語吹替も日本語字幕も、その原文を日本の観客向けに置き換えたものになります。
だからこそ、英語で読むと印象が変わる台詞がたくさんあります。日本語では感動的に響いた一言が、英語では驚くほど短くそっけなかったり、逆に日本語では省かれた語順の工夫が英語には残っていたり。同じ場面を「二か国語で二度味わえる」のが、原語で名言を追う最大の楽しさです。
この記事の裏取り方針
本記事は、次の2つを突き合わせて確認できたセリフだけを掲載しています。
- 公式脚本:
Cocoの Full Academy Script(各ページに Disney・Pixar のコピーライト表記あり)。話者名がキャラクター表記として明記されているため、誰の台詞かを確定できます - 本編の書き起こし:実際に発声された最終版の言い回しを確認するために使用
この2つで語形が少し違う場合は、本編で聞こえるほうを本文に置き、脚本の形を注記しています。日本語訳は学習用の訳例で、公式の字幕・吹替とは異なります。作品全体を英語で楽しむ視点はリメンバー・ミーを英語で楽しむ完全ガイドにまとめました。
先に是正:あの名台詞はミゲルの言葉ではありません
I have to sing. I have to play. The music, it's not just in me, it is me.(歌わずにいられない、弾かずにいられない。音楽は僕の中にあるのではなく、僕そのものなんだ)——この一言は本作を代表する名言として広く引用されています。
しかし公式脚本での話者表記は「デラクルス(映画クリップ)」。ミゲルが屋根裏の隠れ家で再生している、憧れのスターの主演映画の中の台詞です。ミゲルはそれを暗記していて、口ずさんでいるにすぎません。
【エルネスト・デラクルス】夢とチャンスを語る名言
まずは、ミゲルが憧れる伝説の歌手エルネスト・デラクルスの言葉から。その多くはミゲルが観ている古い映画やインタビュー映像の中の台詞で、物語が進むにつれて意味が反転していきます。
I have to sing. I have to play. The music, it's not just in me, it is me.
学習用の訳例は「歌わずにいられない、弾かずにいられない。音楽は僕の中にあるんじゃない、僕自身が音楽なんだ」。ミゲルが屋根裏でVHSを再生している場面で流れる、作中映画のクリップです。
英文法としては、it's not just in me, it is me と同じ動詞beを対比で反復する構文が効いています。in me(私の中に)とme(私そのもの)を並べるだけで、前置詞ひとつぶんの差が意味の飛躍を生む。中学英語の語彙しか使っていないのに、これほど強い断定を作れるという点で、英作文のお手本になる一文です。
なお公式脚本での表記は The music, it's -- it's not just in me. It is me. と、言いよどみが挟まった形になっています。
When you see your moment, you mustn't let it pass you by. You must seize it!
同じVHSの別クリップから。学習用の訳例は「チャンスが見えたなら、見過ごしてはいけない。掴み取るんだ」です。日本語で「チャンスを掴め」として知られるSeize your moment.は、この台詞が元になっています。
seizeは「機会をぐっと掴み取る」という動詞で、takeより力がこもります。let it pass you by(それに自分を通り過ぎさせる)という言い方も面白いところで、チャンスの側が主語になっている点に注目すると記憶に残ります。
I had to have faith in my dream. No one was going to hand it to me.
インタビュー映像の中の一言で、続きは It was up to me to reach for that dream, grab it tight, and make it come true. です。学習用の訳例は「自分の夢を信じるしかなかった。誰も手渡してはくれないのだから。あの夢に手を伸ばし、しっかり掴んで、現実にするのは自分次第だった」。
handを「手渡す」という動詞で使う感覚、It was up to me to do(〜するかどうかは自分次第だった)という構文、reach for(手を伸ばす)とgrab(掴む)の動作の連続——短い3文に実用的な表現が詰まっています。この直後、ミゲルが画面に合わせて ...and make it come true. と口真似する演出が入るのも、彼がこの映像をどれだけ観返してきたかを示していて見事です。
このほか、同じVHSからは次の台詞も確認できます。
When life gets me down, I play my guitar.(落ち込んだときはギターを弾く)The rest of the world may follow the rules, but I must follow my heart.(世界は規則に従えばいい、だが私は心に従う)Never underestimate the power of music.(音楽の力を決して侮ってはいけない)He will listen. To music.(彼は耳を貸すさ。音楽になら)
We cannot belong to one family. The world is our family!
死者の国の豪邸で、デラクルスがミゲルに語りかける一言です。学習用の訳例は「私たちはひとつの家族には属せない。世界こそが我々の家族なのだ」。直前には One cannot deny who one is meant to be.(人は、なるべくして定まった自分を否定できない)という台詞もあります。
be meant to beは「そうなる運命にある」という頻出表現です。そして注目したいのはfamilyという単語の使い方。この作品は同じfamilyという語を、正反対の価値観を語るために両陣営が使うという設計になっていて、その対比が終盤で効いてきます。
【デラクルス】憧れが裏返る瞬間の名言
同じ人物の言葉が、正体が明かされた瞬間にまったく違う色に見えてくる——ここが本作の名言のいちばん面白いところです。
Success doesn't come for free.
ミゲルを閉じ込めようとする場面での台詞です。全文は Success doesn't come for free, Miguel. You have to be willing to do whatever it takes to seize your moment.。学習用の訳例は「成功はタダでは手に入らない。チャンスを掴むためなら、何でもやる覚悟が要るんだ」。
for free(無料で)、be willing to do(〜する覚悟がある)、whatever it takes(何としても)と、ビジネス英語でもよく見る表現が並びます。そしてseize your momentが、ここで憧れの合言葉から脅し文句へと変わるわけです。
直前にミゲルが But I'm your family!(でも僕はあなたの家族だ)と叫ぶと、デラクルスは And Héctor was my best friend.(ヘクターは私の親友だったよ)と返します。この一言だけで、彼が親友に何をしたかがすべて伝わるたった5語の名台詞です。
I am the one who's willing to do what it takes to seize my moment.
屋上でミゲルを人質に取る場面。ミゲルの You're a coward!(卑怯者だ)に対して返される台詞です。学習用の訳例は「私こそが、チャンスを掴むためなら何でもやる覚悟のある人間だ」。
I am the one who ... は「〜なのはこの私だ」と自分を強調する強調構文で、ここでは自己肯定というより自己弁護として使われています。公式脚本では I am the one who is willing to ... と短縮なしで書かれています。
【ミゲル】夢と家族のあいだで揺れる少年の名言
主人公ミゲルの台詞は、12歳らしいまっすぐな英語で書かれています。難しい語彙がほとんどないので、英語学習の素材としてはいちばん扱いやすい部分です。
Sometimes I think I'm cursed.
映画の冒頭、切り絵の旗(パペルピカド)を背景に流れるナレーションの一行目です。学習用の訳例は「ときどき、自分は呪われているんじゃないかと思う」。続けて 'cause of something that happened before I was even born.(僕が生まれる前に起きた、あることのせいで)と語られます。
before I was even bornのevenが効いていて、「生まれてすらいないうちから」という理不尽さが一語で表現されています。同じナレーションには Music had torn her family apart, but shoes held them all together.(音楽は彼女の家族を引き裂いたが、靴は家族をひとつにつないだ)という一文もあり、tear apartとhold togetherを対にして一家の歴史を1行に圧縮するという、見事な要約になっています。
I know I'm not supposed to love music -- but it's not my fault!
マリアッチ広場でデラクルスの像を見上げながらのナレーションです。学習用の訳例は「音楽を好きになっちゃいけないのは分かってる。でも、僕のせいじゃないんだ」。
be supposed to doは「〜することになっている・〜すべきとされている」という、周囲の期待や決まりごとを表す表現。禁止されているのではなく「そういうことになっている」というニュアンスで、リヴェラ家の空気そのものを言い当てています。it's not my fault(僕のせいじゃない)は日常会話でもそのまま使えます。
Music's the only thing that makes me happy.
死者の国の階段でママ・イメルダと対峙する場面。全文は Music's the only thing that makes me happy. And you want to take it away. You'll never understand. です。学習用の訳例は「音楽だけが僕を幸せにしてくれるんだ。なのにあなたはそれを取り上げようとする。あなたには絶対に分からない」(公式脚本では後半が And you, you wanna take that away! という、より荒れた言い回しになっています)。
the only thing that makes me happyは関係代名詞thatを使った定番の言い方で、the only 〜 that ...の形は自分の気持ちを強く言うときに便利です。また係官のオフィスでは This isn't fair. It's my life. You already had yours.(不公平だ。これは僕の人生だ。あなたはもう自分の人生を生きたじゃないか)とも言い放ちます。You already had yours.のたった4語に、少年の反抗心が全部入っています。
If I can't go out there and play one song, how can I call myself a musician?
音楽コンテストの舞台袖、ヘクターにギターを渡すよう言われたときの返答です。学習用の訳例は「一曲すら弾きに出られないなら、どうして自分をミュージシャンだなんて呼べる?」。
how can I call myself 〜? は「どうして自分を〜と名乗れようか(いや名乗れない)」という反語表現で、そのまま応用できる形です。ちなみにこの直前、ヘクターは You can do this. Grab their attention and don't let it go!(お前ならできる。客の注意を掴んで、離すな)と背中を押しています。
Nothing's more important than family.
セノーテ(陥没穴)から救い出されたあと、ミゲルがママ・イメルダに向けて言う一言です。学習用の訳例は「家族より大切なものなんてない」。少し後には Family comes first.(家族が最優先だ)とも言い切ります。
文法的には、nothing+比較級で最上級の意味を作る典型パターン。Nothing is more A than B(BよりAなものはない)はそのまま日常会話に持ち帰れます。公式脚本では nothing is more important than family と短縮なしの形で書かれています。デラクルスのThe world is our family!と正面から向き合う一言で、同じfamilyという単語をめぐる物語がここで決着します。
【ヘクター】「忘れられること」を語る名言
本作でいちばん胸に残る言葉を持っているのは、ガイコツの旅芸人ヘクターです。この作品のテーマである「記憶」と「忘却」は、ほぼ彼の口から語られます。
This place runs on memories.
ミゲルにガイコツのメイクを施しながらの説明です。学習用の訳例は「この場所は記憶で動いているんだ」。
run on 〜は「〜を動力源として動く」という言い方で、This car runs on electricity.(この車は電気で走る)のように使います。死者の国を機械にたとえて「燃料は記憶だ」と言い切るこの比喩は、作品の世界観をたった4語で説明しきっています。同じ場面の Dead as a doorknob.(すっかり死人だ)も、as 〜 as ...の決まり文句をもじった軽口です。
We call it the "Final Death."
老人チチャロンが消えたあとの説明です。全文は When there's no one left in the living world who remembers you, you disappear from this world. We call it the "Final Death."。学習用の訳例は「生者の世界に自分を覚えている者が誰もいなくなったとき、人はこの世界からも消える。それを『最後の死』と呼ぶんだ」。
there's no one left who ...(〜する者が誰も残っていない)という言い方が核です。leftはleaveの過去分詞で「残された」の意味。この設定説明そのものが、そのまま名言として通用します。
Our memories, they have to be passed down by those who knew us in life.
続けて語られる一言です。学習用の訳例は「僕らの記憶は、生前の僕らを知っていた人たちによって語り継がれなければならないんだ」。原文には -- in the stories they tell about us.(その人たちが語る物語の中で)という補足が続きます。
pass down(次の世代へ受け継ぐ)は受動態で使われることが多い動詞です。those who knew us in life(生前の私たちを知っていた人々)という言い回しも、those who 〜(〜する人々)の実例として覚えておくと便利です。この一節が、そのまま日本の「お盆」や「法事」の感覚と重なるのが、この映画が日本で強く支持された理由のひとつだと思います。
I didn't write "Remember Me" for the world. I wrote it for Coco.
セノーテの底で、ヘクターが自分の正体を明かしたあとの言葉です。学習用の訳例は「僕は『リメンバー・ミー』を世界のために書いたんじゃない。ココのために書いたんだ」。
for the worldとfor Cocoを並べるだけの、極端に簡単な英語です。それでいて、この作品の全部がここに集約されています。同じ場面では I just wanted to see her again. I never should have left Santa Cecilia. I wish I could apologize.(もう一度あの子に会いたかっただけなんだ。サンタ・セシリアを出るべきじゃなかった。謝れるものなら謝りたい)という後悔も語られます。
should have + 過去分詞(〜すべきだった)とI wish I could 〜(〜できたらいいのに)という、後悔と願望の2大構文が並ぶ贅沢な一節です。終盤の I just wanted her to know that I loved her.(ただ、愛していたと知ってほしかっただけなんだ)とあわせて味わってください。なお楽曲そのものの背景はリメンバー・ミーの主題歌・挿入歌ガイドで扱っています(歌詞は引用していません)。
【ママ・イメルダ】家族を守る強さの名言
音楽を家から追放したひいひいおばあちゃん、ママ・イメルダ。厳しさの裏にある理由が、たった数行の台詞で明かされます。
We each made a sacrifice to get what we wanted. Now you must make a choice.
階段でミゲルと言い争ったあと、思いがけず歌を口ずさんだイメルダが語る一言です。学習用の訳例は「私たちはそれぞれ、欲しいものを得るために犠牲を払った。今度はあなたが選ぶ番よ」。
直前には I remember that feeling, when my husband would play, and I would sing and nothing else mattered.(あの感覚を覚えているわ。夫が弾いて、私が歌って、ほかは何もどうでもよくなる感じを)という告白があります。wouldが「昔よくそうしていた」という過去の習慣を表す用法で、回想の場面で頻出します。音楽を憎んでいたのではなく、誰よりも愛していたと分かる重要な台詞です。
To never forget how much your family loves you.
終盤、イメルダがミゲルに与える祝福の言葉です。彼女は To go home, to put up our photos and to never... と言いかけ、ミゲルは当然「二度と音楽をやらないこと」という条件が続くと身構えます(実際、序盤の祝福では And to never play music again! と言われています)。
ところが続いた言葉は To never forget how much your family loves you.(家族があなたをどれだけ愛しているか、二度と忘れないこと)でした。学習用の訳例のとおりです。
to never ...でいったん切り、期待を裏切ってから着地させるという語順の効果が、英語だからこそはっきり出る名場面です。日本語は「忘れないこと」が文末に来るので、この「引っぱり」を再現しづらい。英語音声で聞いてこそ本当の破壊力が分かる一言だと思います。
That's for murdering the love of my life!
デラクルスに靴で平手打ちを食らわせながらの一言。学習用の訳例は「これは、私の人生の愛する人を殺した罰よ」です。
That's for 〜ing.は「これは〜したことに対してだ」という、報復の決まり文句。映画でよく聞く形です。直後にヘクターが I'm the love of your life?(僕がきみの人生の愛する人?)と聞き返し、イメルダが I don't know! I'm still angry at you.(知らないわよ、まだ怒ってるんだから)と返す掛け合いも、シリアスな場面に笑いを差し込む脚本の巧さが出ています。舞台袖でヘクターと踊ったあとの I forgot what that felt like.(この感じ、忘れていたわ)に対する You still got it.(腕は落ちてないよ)も、短いのに沁みるやり取りです。
【リヴェラ家】アブエリータとパパの名言
家族側の台詞も、英語で読むと印象が変わります。ミゲルを縛っているように見えて、実は全員が同じ痛みを共有していることが分かるからです。
No music! と Being part of this family means being here for this family.
アブエリータ・エレナの口癖No music!(音楽は禁止!)は、序盤で場所を変えながら繰り返されるギャグでもあります。わずか2語で一家のルールを表す、効率のよい繰り返し表現です。
オフレンダの部屋では Being part of this family means being here for this family.(この家族の一員でいるということは、この家族のためにここにいるということよ)と語ります。動名詞を主語と補語の両方に置いたBeing A means being Bという構文で、be here for 〜は「〜のためにそばにいる・支える」という温かい言い回しです。厳しく聞こえて、実は愛情表現になっています。
You want to end up like that man? Forgotten?
ギターを取り上げる直前の一喝です。全文は You want to end up like that man? Forgotten? Left off your family's ofrenda?!。学習用の訳例は「あの男みたいになりたいの? 忘れられて、家族の祭壇にも載せてもらえずに?」。
end up 〜は「最終的に〜になってしまう」という、望ましくない結末に使う表現です。父エンリケの You have your family here to guide you.(お前を導いてくれる家族がここにいるんだ)とあわせて読むと、「導く」も「忘れられる」も、この一家では同じ一枚のオフレンダの話なのだと分かります。
ラストを締める2つの名言
You have our blessing, Miguel. / No conditions.
夜明け直前、消えかけたヘクターとイメルダがミゲルに与える最後の祝福です。学習用の訳例は「僕たちの祝福をあげよう、ミゲル」「条件はなしで」。
No conditions.はたった2語ですが、序盤の祝福が「二度と音楽をやらないこと」という条件付きだったことを知っていると、この2語の重みが変わります。英語の名台詞は、長さではなく「そこまでに何が積み上がったか」で効くという好例です。
They're our family, and they're counting on us to remember them.
1年後、ミゲルが赤ん坊の妹にオフレンダの写真を紹介する場面。全文は These aren't just old pictures -- they're our family -- and they're counting on us to remember them. です。学習用の訳例は「これはただの古い写真じゃない。僕たちの家族で、覚えていてもらえることを僕たちに頼りにしているんだ」。
count on 人 to doは「〜してくれると人を当てにする」という日常表現。ここではrememberと組み合わせることで、「忘れないでいることが、生きている側の役目だ」というテーマがそのまま一文になっています。この作品を1文で要約するなら、私はこの台詞を選びます。
よく誤って広まっている英文に注意
名言記事を横断して読むと、同じセリフが少しずつ違う英文で紹介されていることに気づきます。ここは英語学習者にとって実害があるので整理しておきます。
話者の取り違え
冒頭でも触れたとおり、The music, it's not just in me, it is me. はエルネスト・デラクルスの台詞です。公式脚本の話者表記は「デラクルス(映画クリップ)」で、ミゲルが屋根裏で観ているVHSの中の映画から流れています。
同じ場面で流れる When life gets me down, I play my guitar. や The rest of the world may follow the rules, but I must follow my heart. も、すべてデラクルスの映画の台詞です。ミゲルの信条として紹介されているのを見かけたら、話者の確認が抜けていると考えてよいでしょう。
英文が実際の台詞と違う形で流通している例
日本語の紹介文に添えられた英文が、実際の台詞と一致していないケースです。代表的なものを挙げます。
| よく見かける英文 | 本編で確認できる実際の台詞 |
|---|---|
| I have to sing. It's not just in me…It's me! | I have to sing. I have to play. The music, it's not just in me, it is me. |
| The whole family will guide you | You have your family here to guide you. |
| I know I shouldn't love music. But it's not my fault | I know I'm not supposed to love music -- but it's not my fault! |
| And never forget how much your family loves | To never forget how much your family loves you. |
| I realized! There is nothing more important than family | Nothing's more important than family. |
いずれも意味は通じますが、英語表現としての妙味が落ちているのが分かります。たとえばbe supposed toがshouldに置き換わると、「周囲がそう決めている」というニュアンスが消えてしまいます。名言を英語学習に使うなら、逐語の正確さがそのまま学習効果に直結します。
日本語だけが流通しているケースの見分け方
日本語訳だけが載っていて英文が添えられていない、あるいは英文がやけに短い場合は、吹替版の台詞を訳し戻した可能性があります。吹替は口の動きに合わせて大きく意訳されるため、英語原文とは別物になっていることが珍しくありません。
見分け方はシンプルで、英語音声で該当シーンを再生し、字幕をEnglishにして目で確認すること。この作業自体がそのままリスニング練習になるので、一石二鳥です。
Salud! と I would move Heaven and Earth for you, mi amigo.|乾杯のセリフ
この作品には、同じ乾杯の台詞が3回登場するという仕掛けがあります。検索でも「リメンバーミー 乾杯 セリフ」「サルー セリフ」と探している人が多い、印象的な一節です。
同じ台詞が3回、意味を変えて登場する
原文は To our friendship. I would move Heaven and Earth for you, mi amigo. Salud!。学習用の訳例は「我らの友情に。君のためなら天地をひっくり返すさ、我が友よ。乾杯!」です。
- 1回目:デラクルスの主演映画『El Camino A Casa』の中で、ドン・イダルゴという登場人物が言う台詞。しかも映画の中では、この直後にグラスに毒が盛られています
- 2回目:ヘクターが故郷に帰ろうとした夜、若きデラクルスが同じ言葉で送別の乾杯をする回想
- 3回目:ミゲルが「それは映画の台詞だ」と気づき、ヘクターと観客が同時に真相にたどり着く場面
映画の中のフィクションが、現実に起きたことの動かぬ証拠になる——脚本の仕掛けとして本当に見事です。ミゲルがデラクルスの映画をすべて暗記しているという設定が、ここで完全に回収されます。
move Heaven and Earth は実在する英語の慣用句
move Heaven and Earthは「あらゆる手を尽くす・全力で何とかする」という実際に使われる慣用句です。I'll move heaven and earth to finish this by Friday.(金曜までに終わらせるために全力を尽くします)のように使えます。
そして文末のSalud!はスペイン語の乾杯、mi amigoは「我が友よ」。1つの台詞の中で英語の慣用句とスペイン語が同居しているのが、いかにもこの作品らしいところです。使えるフレーズをもっと知りたい方はリメンバー・ミーの英語フレーズ集もどうぞ。
名言に混ざるスペイン語をどう読むか
mijo chamaco mi amigo は英語ではありません
名言を英語で追いかけていると、必ず知らない単語にぶつかります。ヘクターがミゲルを呼ぶchamaco(坊主)、家族がミゲルに使うmijo(うちの子)、そしてSaludやmi amigo。
これらは英語ではなく、スペイン語です。舞台がメキシコで登場人物が全員メキシコ人なので、家族への呼びかけや文化に関わる言葉はスペイン語のまま話されます。「聞き取れなかった」のではなく「英語ではないものを英語として聞こうとしていた」というだけ。英語のネイティブスピーカーでも、スペイン語を知らなければ同じように分かりません。
英語字幕を出すと切り分けられる
対処法は簡単で、英語字幕をオンにすること。文字で見れば、どこが英語でどこがそうでないかが一目で分かります。名言のセリフに限れば、覚えておくべきスペイン語はmijo mija chamaco mi amigo Salud gracias vámonos くらいで十分です。
文の骨組みは必ず英語なので、文法の学習にはまったく支障がありません。動詞も前置詞も英語のまま。混ざっているのは主に呼びかけと文化語です。
名言から学べる英語表現まとめ
この記事で紹介したセリフから持ち帰れる表現を、使いやすい順にまとめます。
| 表現 | 出典セリフ | 使い方の例 |
|---|---|---|
Nothing is more A than B | Nothing's more important than family. | これ以上〜なものはない(最上級の意味) |
be supposed to do | I know I'm not supposed to love music. | 〜することになっている・〜すべきとされている |
seize | You must seize it! | チャンスなどをぐっと掴み取る |
be meant to be | One cannot deny who one is meant to be. | そうなる運命にある |
be willing to do | You have to be willing to do whatever it takes. | 〜する覚悟がある |
run on 〜 | This place runs on memories. | 〜を動力源にして動く |
pass down | Our memories have to be passed down. | 次の世代へ受け継ぐ |
those who 〜 | those who knew us in life | 〜する人々 |
should have + 過去分詞 | I never should have left Santa Cecilia. | 〜すべきだった(後悔) |
I wish I could 〜 | I wish I could apologize. | 〜できたらいいのに |
end up 〜 | You want to end up like that man? | 最終的に〜になってしまう |
count on 人 to do | They're counting on us to remember them. | 〜してくれると当てにする |
move Heaven and Earth | I would move Heaven and Earth for you. | あらゆる手を尽くす |
この13個を押さえるだけで、日常会話でも仕事のメールでも困らないくらいの守備範囲になります。名言は「感動するための素材」であると同時に、記憶に残りやすい文法の実例集でもあるわけです。
名言を英語音声で確かめる方法|Disney+ならVPN不要
結論から言うと、『リメンバー・ミー』の名言を英語で確認するならDisney+がもっとも手軽です。本記事執筆時点(2026年8月)で、Disney+日本の作品ページに本作が掲載されていることを確認しました。
日本のアカウントのまま音声と字幕をEnglishにする
Disney+は1つの作品に複数の音声・字幕トラックを持っており、再生画面の設定から切り替えるだけで英語版にアクセスできます。日本のアカウントのままでよく、海外リージョンへ接続するVPNや、海外用アカウントの作成は必要ありません。
手順は次の3ステップです。
- Disney+のアプリまたはブラウザで『リメンバー・ミー』を再生する
- 一時停止して、画面の設定(歯車)アイコンを開く
- 「音声」から
English、「字幕」からEnglishをそれぞれ選ぶ
なお、Disney+の公開されている作品ページには音声・字幕の言語一覧までは表示されません。選べるトラックは配信時期や視聴環境によって変わることがあるため、視聴前に再生画面の設定メニューで実際の表示をご確認ください。手順をもっと詳しく知りたい方はリメンバー・ミーを英語音声・字幕で見る方法をどうぞ。
名言のシーンだけを繰り返す
名言の確認に向いているのは、屋根裏でVHSを観る場面(デラクルスの台詞が集中)、セノーテの底(ヘクターの告白)、終盤の祝福の場面(イメルダ)の3か所です。この3シーンだけで、この記事で紹介した名言の半分以上が確認できます。
アプリのダウンロード機能を使えば通勤中にも聴けるので、1本を通しで観るより「気に入った5分を10回聴く」ほうが圧倒的に効きます。まずはDisney+で、気になった一言の実際の音を確かめてみてください。
名言で英語を伸ばす学習法
ここからは、留学経験のない私が実際に続けてきた方法を紹介します。机に向かう勉強より、好きな作品を英語で何度も観る習慣のほうが効いたというのが正直な実感です。
気に入った1文だけを繰り返し口に出す
名言記事を読んで満足して終わると、何も残りません。おすすめは、この記事の中から「いちばん刺さった1文」だけを選んで、声に出して真似することです。
私が選ぶなら I didn't write "Remember Me" for the world. I wrote it for Coco. です。単語がすべて中学レベルなのに、間の取り方だけで意味が変わるので、音読の教材として優秀です。1文を100回言うほうが、100文を1回ずつ読むより確実に身につきます。
Coco script で検索してAIに解説させる
いちばん効果を感じているのが、英語タイトルにscriptを付けて検索し、見つけた台詞をAIに投げて解説してもらう方法です。この作品ならCoco scriptで検索すれば、セリフの一覧が見つかります。
気になった台詞をコピーして、ChatGPTなどに「このセリフのニュアンスと文法を解説して」と頼むだけ。seizeがなぜtakeではないのか、to never...で切る語順にどんな効果があるのか——辞書を引いても出てこない疑問がその場で解けます。この作品の場合は、スペイン語混じりの台詞をそのまま投げて「どこがスペイン語か教えて」と聞けるのも便利です。
知っている話だから英語に集中できる
英語で映画を観るのに抵抗がある人ほど、すでに日本語で観たことのある作品から始めるべきだと思っています。話の展開を追う負担がゼロなので、脳のリソースを全部「英語を聞くこと」に回せるからです。
『リメンバー・ミー』は特にこれが効きます。終盤の真相を知ってから観直すと、デラクルスの決め台詞が全部違って聞こえるので、「勉強のために我慢して観る」ではなく「もう一度観たいから観る」が成立します。同じやり方はほかの作品にも使えるので、アニメで英語を学ぶ完全ガイドもあわせてどうぞ。
『リメンバー・ミー』の名言についてよくある質問
いちばん有名な名言はどれですか?
The music, it's not just in me, it is me.とSeize your moment.の2つが飛び抜けて有名です。どちらもエルネスト・デラクルスの言葉で、Seize your moment.のもとになった台詞は When you see your moment, you mustn't let it pass you by. You must seize it! です。
「音楽が俺の中にあるんじゃない」は誰の台詞ですか?
エルネスト・デラクルスです。公式脚本の話者表記は「デラクルス(映画クリップ)」で、ミゲルが屋根裏で観ているVHSの中の主演映画から流れる台詞です。ミゲルの言葉として紹介されていることがありますが、彼は暗記して口ずさんでいるだけです。
「家族より大切なものはない」は英語で何と言っていますか?
Nothing's more important than family.です。セノーテから救い出されたミゲルが、ママ・イメルダに向けて言います。少し後に Family comes first.(家族が最優先だ)とも言い切ります。
ヘクターの「忘れられる」に関する名言は?
代表的なのは We call it the "Final Death."(それを『最後の死』と呼ぶんだ)と Our memories, they have to be passed down by those who knew us in life.(僕らの記憶は、生前の僕らを知っていた人たちに語り継がれなければならない)の2つです。
名言を英語音声で確認するにはどうすればいいですか?
Disney+で再生し、設定から音声・字幕をEnglishにするだけです。日本のアカウントのままVPNなしで切り替えられます。選べる言語は変わることがあるので、視聴前に再生画面でご確認ください。
主題歌の歌詞は名言に含まれますか?
本記事では歌詞は扱っていません。著作権に配慮し、楽曲については曲名・場面・作り手までにとどめています。歌の背景はリメンバー・ミーの主題歌・挿入歌ガイドで解説しています。
まとめ|名言は「誰が・どこで」まで分かると効く
『リメンバー・ミー』の名言は、英語そのものは驚くほど平易です。難しい単語はほとんど出てきません。それでも心に残るのは、同じfamilyという単語をデラクルスとミゲルが正反対の意味で使い、seize your momentが憧れの言葉から脅し文句へ変わり、to never...という言いかけが期待を裏切って着地するからです。
そして、いちばん有名な一言はミゲルではなくデラクルスの台詞でした。誰が、どの場面で言ったのかまで分かると、同じセリフの見え方がまるで変わります。
視聴はDisney+なら日本のアカウントのままVPN不要で英語音声・英語字幕に切り替えられます(本記事執筆時点・2026年8月)。まずはこの記事から一言だけ選んで、実際の音を聞いてみてください。登場人物の英語名や英語版声優はリメンバー・ミーのキャラクター英語名一覧にまとめています。