「ブルーロックって、英語だと何て書くんだろう?」——結論からお伝えすると、英語版のタイトルは『Blue Lock』、ロゴなどの意匠表記では『BLUELOCK』とひと続きに書かれます。そして最初にひとつだけ強調させてください。「ロック」は音楽の Rock ではなく、鍵の Lock です。作中で「青い監獄」と書いて「ブルーロック」と読ませるあの施設名を思い出せば、なぜ Lock なのかはすぐに腑に落ちるはずです。
ただ、この記事で本当にお伝えしたいのはその先です。『ブルーロック』は「英語にすると意味が変わってしまう言葉」の宝庫なんです。ボランチ、サイドバック、ロスタイム、ナイスシュート、センタリング——日本のサッカー中継で当たり前に使われているこれらのカタカナ語は、そのまま英語にしても通じません。そこへさらに、この作品ならではの「エゴ」「武器」「化学反応」といった造語がどう英訳されたのか、という第2の楽しみが乗ってきます。
このページでは、①英題の表記と意味、②アニメ・劇場版・実写版の英語タイトル、③主要キャラの英語名、④本記事の目玉であるサッカー用語の和製英語、⑤エゴ・武器など作品独自用語の公式英訳、⑥名言を英語で味わう視点、⑦視聴方法と英語版漫画での学習法まで、「ブルーロック×英語」の全体像を1本にまとめました。
私は留学経験がないまま、アニメ・海外ドラマ、そして海外サッカーの英語中継で英語を身につけ、TOEIC990点・VERSANT76点(80点満点中)を取得し、元海外事業担当としても英語を使ってきました。サッカーの英語実況を何百試合と聴いてきた立場から、競技用語まで踏み込んで解説します。なお、英語音声で視聴するには、NordVPNで英語圏のサーバーに接続してから配信サービスを開く、という一手間が前提になります(NordVPNの詳細はこちら)。この点は記事後半で詳しく解説します。
Contents
「ブルーロック」は英語で何という?タイトル表記と意味
結論から言うと、『ブルーロック』の英語タイトルは「Blue Lock」です。原題のカタカナをそのまま英語に戻しただけで、意訳はされていません。ただし表記が2種類あり、そこに作品の仕掛けが隠れています。
英語版タイトルは「Blue Lock」。ロゴ表記は「BLUELOCK」
英語版Wikipediaは冒頭で、この作品を次のように定義しています。
Blue Lock (Japanese: ブルーロック, Hepburn: Burū Rokku; stylized in Latin script as BLUELOCK)
つまり正式な英語タイトルは「Blue Lock」(2語)、ロゴやパッケージなどでの意匠表記が「BLUELOCK」(1語・全大文字)という二重構造です。北米で英語版コミックを出しているKodansha USAの公式シリーズページも「Blue Lock」表記、Crunchyrollの配信ページは「BLUE LOCK」表記。どちらも公式なので、検索するときは両方の綴りを試すのが確実です。ちなみにアニメ第3期の公式サイトでは「TV ANIMATION "BLUELOCK" Neo Egoist League」と、1語表記が採用されています。
なぜ「Rock」ではないのか。lock は「錠・閉じ込める」
日本語話者がいちばんやりがちなミスが、Blue Rock と書いてしまうことです。カタカナの「ロック」は英語では rock(岩・ロック音楽)、lock(錠・鍵をかける)、lock(ロックオン)など複数の単語に対応してしまうため、混同が起きます。
lock は名詞で「錠前」、動詞で「鍵をかける/閉じ込める」。300人の高校生ストライカー候補を1つの施設に閉じ込めて競わせるという作品設定を考えれば、こちらが正解であることは明白です。実際、作中で絵心甚八が候補生を追い出す場面のセリフも、英語では概ね lock off(=出ていけ、ロック解除だ)という言い回しで訳されています。「閉じ込める」という動詞のイメージが、そのままタイトルの主題になっているわけです。なお rock と lock は日本語話者が最も苦手とする R と L の対立ペアでもあります。作品名を正しく綴れるかどうかは、そのまま発音の意識にも直結します。
作中の「青い監獄」は英語版で blue prison とは訳されない
原作では「青い監獄」という漢字に「ブルーロック」というルビが振られています。ここで気になるのが、英語版では「青い監獄」をどう訳したのかという点。
答えは、英語版はわざわざ訳さず、単に Blue Lock としています。blue prison という直訳は使われていません。日本語版は「青い監獄」という漢字と「ブルーロック」というカタカナの二重表記で、意味と語感を同時に伝える仕掛けになっていますが、英語には漢字とルビという仕組みがありません。そのため意味のほうを捨て、固有名詞として定着させるという判断が取られたわけです。日本語のルビ文化が英語に持ち込めない典型例で、翻訳の限界と割り切りがよく分かる例だと思います。
【比較軸】意訳型・音写型・そのまま型──ブルーロックはどのパターンか
日本のアニメ・漫画タイトルの英語表記は、大きく3つに分かれます。
- ①大幅に意訳するタイプ:鬼滅の刃→Demon Slayer、進撃の巨人→Attack on Titan
- ②ローマ字で音を写すタイプ:NARUTO(ナルト)→Naruto、ハイキュー!!→Haikyu!!
- ③ほぼ直訳・そのままタイプ:チェンソーマン→Chainsaw Man、僕のヒーローアカデミア→My Hero Academia
ブルーロックは③の「そのまま」タイプです。ただし他の作品と決定的に違うのは、原題がもともと英語のカタカナ語なので、英語に戻すと「元に戻っただけ」になるという点。ローマ字型の Haikyu!! が英語ネイティブには意味不明な音の並びとして受け取られるのに対し、Blue Lock は英語話者にも「青い錠前」という意味がそのまま伝わります。日本語話者と英語話者で、タイトルから受け取る情報量がほぼ同じという、意外と珍しいケースなんです。
原作者・金城宗幸/ノ村優介と、世界6,000万部超のヒット
原作は金城宗幸(Muneyuki Kaneshiro)先生、作画はノ村優介(Yusuke Nomura)先生。講談社『週刊少年マガジン』で2018年8月1日に連載が始まり、単行本第1巻は同年11月16日発売でした。
英語版Wikipediaによれば、日本語版の単行本は2026年6月17日時点で39巻、全世界の累計発行部数は2026年6月時点で6,000万部以上。2021年には第45回講談社漫画賞 少年部門を受賞しています。刊行数は時間とともに変わる数字なので、本記事執筆時点(2026年7月)の情報としてお読みください。スピンオフの『ブルーロック -EPISODE 凪-』(作画:三宮宏太)は別冊少年マガジンで2022年6月から2025年7月まで連載され、単行本は全8巻で完結しています。
アニメ・劇場版・実写版の英語タイトル一覧
結論として、ブルーロックのアニメは「BLUELOCK + サブタイトル」という形で英語化されています。シリーズ名はそのまま、サブタイトルだけが英語になったり、もともと英語だったりする構造です。
TVシリーズの英語表記とシーズン構成
アニメはエイトビット(Eight Bit)が制作しています。
| 日本語 | 英語表記 | 放送時期・話数 |
|---|---|---|
| ブルーロック(第1期) | BLUELOCK / Blue Lock | 2022年10月〜2023年3月/全24話 |
| ブルーロック VS. U-20 JAPAN(第2期) | BLUE LOCK vs. U-20 JAPAN | 2024年10月〜12月/全14話(通し25〜38話) |
| ブルーロック ネオ・エゴイストリーグ(第3期) | "BLUELOCK" Neo Egoist League | 放送日未発表 |
ここで注意点をひとつ。第2期を「全13話」と書いている記事が少なくありませんが、正しくは全14話です。 最終回にあたる2024年12月28日に第37話・第38話が2話連続で放送されたため、放送週数が13週になったのが誤解の原因です。公式サイトのSTORYページはエピソード選択が25〜38の14個、英語版Wikipedia・Anime News Networkの記載もいずれも14話で一致しています。
第2期の英題 vs. U-20 JAPAN は、「U-20(20歳以下)」という国際的なカテゴリー表記がそのまま英語になっている点が面白いところ。U-20 は under-20 の略で、サッカーを英語で追いかけるなら真っ先に覚えたい表記です。
劇場版の英題は「BLUE LOCK THE MOVIE -EPISODE NAGI-」
スピンオフを原作とした劇場版『ブルーロック -EPISODE 凪-』(2024年4月19日 日本公開)の公式英題は「BLUE LOCK THE MOVIE -EPISODE NAGI-」です。Crunchyrollの公式配信ページでこの表記が確認できます。
注目したいのは、「凪」という漢字の人名が NAGI とローマ字化されただけで、意味は訳されていないこと。nagi は英語で言えば calm(凪=風が止み波が穏やかな状態)ですが、キャラクター名なのでそのまま音写されています。北米では2024年6月28日に劇場公開され(Crunchyrollとソニーが配給)、同年10月17日からCrunchyrollでの配信が始まりました。英語吹き替え付きで配信されているので、英語学習の教材としても手を出しやすい1本です。
第3期「Neo Egoist League」──英語がそのままタイトルになった珍しい例
第3期のサブタイトルは「ネオ・エゴイストリーグ」= Neo Egoist League。日本語タイトルがもともと英語のカタカナ語なので、英語版でも訳す必要がまったくないという、なかなか珍しいパターンです。neo-(新しい)+ egoist(利己主義者)+ league(リーグ)という、英語として素直に読める組み合わせ。
なお第3期は、2025年9月28日のイベントで制作決定が発表され、2026年6月9日にタイトルが決定しましたが、放送開始日は本記事執筆時点(2026年7月)で公式に発表されていません。 「2026年10月放送開始」と断定している記事を見かけますが、公式サイト・Anime News Network・MyAnimeListのいずれにもその記載はないため、本記事では書かないでおきます。ちなみにKodansha USAの英語版コミックでは Neo Egoist League と Neo-Egoist League(ハイフンあり)の両方の表記が巻によって混在しており、公式の中ですら表記が揺れているのが実情です。
各話サブタイトルの英題が意外と面白い
各話のサブタイトルも英語化されています。配信サービスの表記で確認できた範囲では、次のような対応です。
- 「かいぶつ」→ Monster
- 「予感と直感」→ Premonition and Intuition
- 「ゴールの方程式」→ The Formula for Goals
- 「覚醒」→ Awakening
- 「二次選考(セレクション)」→ The Second Selection
- 第2期の「トライアウト」にあたる回 → Tryouts、「フロー」の回 → Flow
premonition(虫の知らせ・予感)と intuition(直感)の使い分けは、英語学習的にかなり美味しいポイントです。premonition は「悪いことが起きそうな予感」に寄る語、intuition は「論理を経ずに分かる感覚」。日本語だと両方「かん」で片づけてしまいがちな区別が、英題では明確に分かれています。なお各話英題は配信サービスの表記に基づくものです。話数と英題の対応は媒体によって表記が異なる場合があるため、本記事では代表例の提示にとどめます。全38話ぶんの英題と劇場版の英語タイトルを1話ずつ確認したい方は、ブルーロックの英語タイトル一覧にまとめています。
実写映画は2026年8月7日公開
アニメ第3期とは別に、実写映画『ブルーロック』が2026年8月7日に日本公開されました(東宝配給、Credeus/CK Works製作、主題歌はAdo「モンストロ」)。「第3期」と「実写映画」は別物なので、情報を追うときは混同しないようご注意ください。海外での公開・配信については、本記事執筆時点(2026年7月)では確認できていません。
主要キャラクターの英語名まとめ
結論として、ブルーロックのキャラ名はすべて日本語の音をローマ字にした表記で、英語圏の慣習に合わせて「名→姓」の順に並べ替えられます。ここでは代表的な顔ぶれを一覧にしました。
ブルーロック組の英語表記
主人公・潔世一は Yoichi Isagi。日本語では姓→名の順ですが、英語版では名(Yoichi)が先、姓(Isagi)が後になります。
| 日本語 | 英語表記 | ひとことメモ |
|---|---|---|
| 潔 世一 | Yoichi Isagi | 主人公。武器は空間認識能力 |
| 蜂楽 廻 | Meguru Bachira | 「かいぶつ」=monster を飼う男 |
| 千切 豹馬 | Hyoma Chigiri | 英語版Wikipediaでは Hyōma 表記も |
| 國神 錬介 | Rensuke Kunigami | ─ |
| 我牙丸 吟 | Gin Gagamaru | ─ |
| 久遠 渉 | Wataru Kuon | ─ |
| 成早 朝日 | Asahi Naruhaya | ─ |
| 五十嵐 栗夢 | Gurimu Igarashi | あだ名の「毬栗」は Igaguri |
| 馬狼 照英 | Shoei Baro / Shouei Barou | 媒体で綴りが割れる(後述) |
| 凪 誠士郎 | Seishiro Nagi | 劇場版の主役 |
| 御影 玲王 | Reo Mikage | ─ |
| 糸師 凛 | Rin Itoshi | ─ |
| 糸師 冴 | Sae Itoshi | 凛の兄 |
| 士道 龍聖 | Ryusei Shido / Ryusei Shidou | ─ |
| 蟻生 十兵衛 | Jyubei Aryu | ─ |
| 雪宮 剣優 | Kenyu Yukimiya | ─ |
| 時光 青志 | Aoshi Tokimitsu | ─ |
| 乙夜 影汰 | Eita Otoya | ─ |
| 氷織 羊 | Yo Hiori | ─ |
| 烏 旅人 | Tabito Karasu | ─ |
| 二子 一揮 | Ikki Niko | ─ |
| 剣城 斬鉄 | Zantetsu Tsurugi | ─ |
| 雷市 陣吾 | Jingo Raichi | ─ |
| 黒名 蘭世 | Ranze Kurona | ─ |
| 七星 虹郎 | Nijiro Nanase | ─ |
| 吉良 涼介 | Ryosuke Kira | ─ |
海外組・運営陣の英語表記
ブルーロックの面白さは、海外出身のキャラクターが多数登場すること。彼らの名前は逆に「もともと英語・ドイツ語などの名前をカタカナにしたもの」なので、英語に戻すと元の綴りが現れます。
| 日本語 | 英語表記 | ひとことメモ |
|---|---|---|
| 絵心 甚八 | Jinpachi Ego | 姓が Ego。作品テーマそのもの |
| 帝襟 アンリ | Anri Teieri | ─ |
| オリヴァ・愛空 | Oliver Aiku | ハーフ設定。名は Oliver |
| ノエル・ノア | Noel Noa | 世界最高のストライカー |
| ミヒャエル・カイザー | Michael Kaiser | ドイツ語読みの Michael |
| アレクシス・ネス | Alexis Ness | ─ |
| ジュリアン・ロキ | Julien Loki / Julian Loki | 表記ゆれあり |
| レオナルド・ルナ | Leonardo Luna | ─ |
ここで最大の英語ネタが、絵心甚八の姓「絵心」が英語表記だと Ego になること。日本語だと「絵心(えご)」は絵のセンスを指す言葉ですが、ローマ字にするとそのまま英語の ego(自我・エゴ)になります。作品の中心概念「エゴ」が、監督の名前そのものだったという仕掛けが、英語表記にすると一目で分かるわけです。これは日本語で読んでいるとむしろ気づきにくい、英語版ならではの発見だと思います。
名前の並び順・長音・カタカナ表記のズレに注意
キャラ名を英語で検索するときにつまずくポイントが3つあります。
- ①並び順:英語版は「名→姓」。
Isagi YoichiではなくYoichi Isagiで検索するとヒットしやすい。 - ②長音の扱い:厳密な表記では
Hyōma(千切)のようにマクロン(ō)を使いますが、キーボードで打てる形に崩すとHyomaになります。検索はマクロンなしが確実です。 - ③媒体による綴りの違い:馬狼照英は、ファンWikiでは
Shoei Baro、Kodansha USA公式のあらすじではShouei Barouと、同じキャラでも媒体で綴りが違います。士道龍聖もShido/Shidouの揺れがあります。
長音を「u」で表す方式(Barou、Shidou)と省く方式(Baro、Shido)のどちらが正しいという話ではなく、媒体ごとにルールが違うだけです。両方で検索してみてください。なお、ジュリアン・ロキの英語表記も Julien Loki と Julian Loki で割れています。
英語吹き替えキャストが実は豪華
英語吹き替え版のキャスティングも、アニメ好きなら知った名前が並びます。潔世一はRicco Fajardoさん(『僕のヒーローアカデミア』通形ミリオ役)、凪誠士郎はBryson Baugusさん、糸師凛はMatt Shipmanさん、蜂楽廻はDrew Breedloveさん、絵心甚八はDerick Snowさん、御影玲王はKamen Caseyさん、千切豹馬はAaron Dismukeさん、ミヒャエル・カイザーはChristopher Wehkampさんが担当しています。
英語吹き替えは「同じキャラを別の言語で演じ直す」という贅沢な聴き比べ教材です。日本語版のイントネーションを覚えている状態で英語版を聴くと、感情の込め方が言語によってどう変わるかが体感できます。私はこの聴き比べが好きで、気に入ったシーンは日英を交互に3〜4回ずつ再生することがよくあります。キャラごとの英語名と英語吹き替えキャストをさらに詳しく並べたブルーロックのキャラクター英語名一覧も公開していますので、あわせてどうぞ。
【本記事の目玉】サッカー用語は英語で何という?和製英語に要注意
ここからが本記事の中心です。結論を先に言うと、日本のサッカーで使うカタカナ語には、英語にすると通じない「和製英語」がかなり多い。ブルーロックを英語で観る・読むうえで、ここを知らないと何度も引っかかります。私自身、海外サッカーの英語中継を聴き始めた頃にいちばん苦労したのがここでした。
まず最大の疑問:soccer と football はどう違う?
いちばん多い質問がこれです。結論は、同じ競技を指す2つの呼び名で、どちらも正しい。ただし使われる地域が違います。
意外に思われるかもしれませんが、soccer はもともとイギリス生まれの言葉です。正式名称 association football の assoc. の部分を縮めて -er を付けた俗語で、1880年代のイギリスのパブリックスクール・大学が発祥とされています。英語版Wikipediaによれば、イギリスでも100年近く普通に使われており、上流階級が soccer、労働者・中流階級が football を好む傾向があったそうです。1960年代以降に football が優勢になり、現在のイギリスでは「アメリカ英語の語」と見なされるようになりました。
現在の使い分けはこうです。
- soccer が主流:アメリカ・カナダ・オーストラリア(英語母語話者の約70%がこの地域に住んでいます)
- football が主流:イギリス・アイルランド・カリブ地域・ナイジェリア・インド・シンガポール・香港など
ブルーロックの英語版はアメリカ市場向けなので soccer が基本です。Kodansha USAの公式あらすじにも、Crunchyrollの英語字幕にも soccer が使われています。一方、イギリスのプレミアリーグ中継を英語で聴くと football しか出てきません。どちらを使うかで「どこ向けの英語か」が決まる、という感覚を持っておくと便利です。
ポジション名の落とし穴──ボランチ・サイドバックは通じない
ポジション名は、そのまま通じるものと通じないものがきれいに分かれます。
そのまま通じるもの:striker(ストライカー)、forward(フォワード)、midfielder(ミッドフィルダー)、defender(ディフェンダー)、goalkeeper(ゴールキーパー)。ゴールキーパーの略語 keeper も実況で頻出しますが、Oxford Learner's Dictionariesは「British English, informal」というラベルを付けています。
通じないものが2つあります。
- ボランチ →
defensive midfielder/holding midfielder/anchor。ボランチはポルトガル語の volante(舵・ハンドル)が語源で、Jリーグ開幕以降にブラジル人選手経由で日本に定着した借用語です。英語で volante と言っても伝わりません。背番号にちなんでthe No.6と呼ぶ言い方もよく使われます。 - サイドバック →
full-back/right-back/left-back。英語にside backという言葉は存在しません。右サイドバックなら right-back、左なら left-back と、左右を明示するのが英語流です。
センターバックは centre-back(イギリス綴り)/center back(アメリカ綴り)で通じます。ブルーロックはストライカーを育てる物語なので striker forward は山ほど出てきますが、U-20戦や新英雄大戦でDF陣の話になると、とたんにこの手の用語が飛び交います。
「シュート」は名詞では shot。「ナイスシュート」は英語にならない
これは日本人が最も引っかかる項目です。英語の shoot は動詞であって、名詞は shot。
- 「強烈なシュートだった」→ a powerful shot(× a powerful shoot)
- 「彼はシュートを打った」→ He took a shot.(動詞なら He shot.)
つまり「ナイスシュート!」は英語として成立しません。正しくは次のように言います。
- Good shot! / Nice shot!(標準的な褒め言葉)
- What a strike! / What a hit!(強烈な一撃に対して)
- What a finish!(決めきった finish=フィニッシュの技術を褒める)
- 惜しくも外れたときは Great effort! や Unlucky!
ちなみに命令形の「Shoot!」(撃て!)は英語でも普通に叫びます。だから「シュート!」という掛け声だけは日本語と英語で一致するのですが、名詞として使った瞬間に崩れる。この非対称がややこしさの正体です。「打つ瞬間は shoot、打った結果は shot」と覚えると整理できます。
【最重要】ロスタイムは完全な和製英語。stoppage time / added time
本記事で一番お伝えしたい和製英語がこれです。「ロスタイム」は英語ではまったく通じません。
loss of time から作られた日本独自の造語で、英語圏では次のように言います。
- stoppage time(最頻。米英とも通用)
- added time(イギリスの中継で頻出)
- injury time(Oxford Learner's Dictionariesは「British English」とラベル)
- additional time(IFAB=国際サッカー評議会の公式用語集の見出し語)
IFAB競技規則では、第7条3項の見出しが Allowance for time lost(失われた時間の補填)となっており、用語集の見出し語は Additional time。日本サッカー協会も2010年7月16日に、呼称を「ロスタイム」から「アディショナルタイム」へ統一しています。つまり日本国内でももう公式には「ロスタイム」と言わないわけです。ブルーロックのU-20戦のような終盤の攻防を英語で聴くなら、We're into stoppage time.(アディショナルタイムに入りました)という言い回しが必ず出てきます。
トラップ・センタリング・スルーパスの英語
もう少し細かい和製英語・準和製英語を押さえておきましょう。
- トラップ →
first touch/control the ball。英語版Wikipediaのサッカー用語集にはfirst touchが立項されています。凪誠士郎の代名詞である「異次元のトラップ」も、英語ではボールコントロールの技術(first touch / ball control)として語られます。trap the ballという動詞は、特にアメリカのコーチング用語として存在するので完全な誤りではありませんが、名詞単独で「トラップ」と言うのは日本語的です。 - センタリング →
cross。「クロスを上げる」の cross です。動詞でも名詞でも使えます。 - スルーパス →
through ball。Britannicaにも立項されている標準表現。through passも意味は通じますが標準ではありません。 - ワンツー →
one-two/give-and-go/wall pass。これは英語でもそのまま one-two で通じます。 - PK →
penalty kick/penalty/spot kick。PK戦のIFAB正式名称はPenalties (penalty shoot-out)。略語の「PK」は北米では使われますが、イギリスの中継ではまずpenaltyです。
なお「センタリングは英語で100%通じない」「マイボールは英語で Ours! と言う」といった説明をよく見かけますが、これらを裏づける英語圏の一次資料は本記事の調査では確認できませんでした。断定は避け、「標準表現は cross である」という形でお伝えしておきます。
「ゴールを決める」の英語バリエーション
ストライカーの物語なので、「点を取る」の言い方は覚えておいて損がありません。
- score (a goal):もっとも基本。
He scored twice.(2点決めた) - net:動詞で「ネットに入れる」。Oxford Learner's Dictionariesは「especially British English」とラベル。
- find the back of the net:直訳「ネットの裏側を見つける」。実況の定番フレーズで、英語版Wikipediaの用語集にもBritannicaにも立項されています。
- bury it / slot it home / smash it home:豪快に、あるいは冷静に流し込む、というニュアンス。
- convert:PKや決定機を「決めきる」。
He converted the penalty. - tap-in:ゴール前に転がってきた球を押し込むだけの簡単なゴール。
絵心甚八が繰り返す「点を取った奴が一番偉い」という思想は、英語だと Whoever scores the most goals is the greatest. のような形で表現されます。whoever(〜する人は誰でも)という関係代名詞が使えると、こういう断定的な物言いが一気に英語らしくなります。
実況で飛び交うスラング:screamer / nutmeg / worldie / brace / clean sheet
ここがサッカー英語のいちばん楽しいところです。しかも面白いことに、Kodansha USAの英語版コミックの公式あらすじにも、この手の実況スラングが普通に使われています。
| 英語 | 意味 | メモ |
|---|---|---|
| screamer | 強烈で見事なロングシュート・ゴール | Kodansha USA公式あらすじでも使用(糸師凛のゴールの描写) |
| nutmeg(略 megs) | 股抜き | Kodansha USA公式あらすじでも使用(double nutmeg=股抜き2連発) |
| worldie | ワールドクラスの一撃 | イギリスのスラング |
| brace | 1試合2ゴール | ハットトリックの1つ手前 |
| hat-trick | 1試合3ゴール | 語源はクリケット(1869年初出) |
| clean sheet | 無失点 | アメリカのスポーツ用語では shutout |
| sitter | 決めて当然の簡単な決定機 | 「British English, informal」 |
| howler | GK・DFの大ポカ | ─ |
| back of the net | ゴールを称える言い回し | ─ |
| golazo | スーパーゴール | スペイン語由来 |
| Panenka | PKの真ん中チップキック | 選手名由来 |
| tap-in / scuffed shot | 押し込みゴール/当たり損ね | ─ |
そしてGKと1対1になる場面の定型表現も覚えておきましょう。He's through on goal.(抜け出してGKと1対1だ)、with only the keeper to beat(あとはGKをかわすだけ)、clean through(完全に抜け出して)。ブルーロックはまさにこの状況の連続なので、英語中継の実況をそのまま作品に当てはめられるのが強みです。
ちなみにGOOOOAL! という長い雄叫びは、実はスペイン語圏・ラテンアメリカの放送文化です。アメリカにはAndrés Cantorさんという実況者が1987年以降に持ち込み、1994年のアメリカW杯で一気に社会現象になりました。イギリスの英語実況にはもともとこのスタイルはなく、短く鋭い叫びのあとに沈黙、というのが典型です。「サッカーの英語=GOAL!!!」というイメージだけで英語圏の中継を想像すると、実際とはかなり違います。
サッカー用語 英語早見表
本記事の心臓部です。作品を英語で追いかけるうえで押さえたい用語をまとめました。
| 日本語(カタカナ) | 英語 | 判定・ひとことメモ |
|---|---|---|
| サッカー | soccer / football | 米豪=soccer、英=football |
| ストライカー | striker | ○ そのまま |
| フォワード | forward | ○ |
| ミッドフィルダー | midfielder | ○ |
| ディフェンダー | defender | ○ |
| ゴールキーパー | goalkeeper / keeper | ○ keeperは口語 |
| ボランチ | defensive midfielder / holding midfielder | ✕ ポルトガル語由来 |
| サイドバック | full-back / right-back / left-back | ✕ 和製英語 |
| センターバック | centre-back(英)/ center back(米) | ○ |
| シュート(名詞) | shot | ✕ shootは動詞 |
| ナイスシュート | Good shot! / What a strike! | ✕ Nice shoot!は誤り |
| ゴールを決める | score / net / find the back of the net | ○ |
| センタリング | cross | △ 標準はcross |
| スルーパス | through ball | △ 標準はthrough ball |
| トラップ | first touch / control | △ 名詞trapは日本語的 |
| ドリブル | dribbling / to dribble | ○ |
| フェイント | feint | ○ IFAB用語集に定義あり |
| ワンツー | one-two / give-and-go | ○ |
| オフサイド | offside | ○ 米口語のoffsidesは規則上は誤り |
| ロスタイム | stoppage time / added time / injury time | ✕ 完全な和製英語 |
| PK | penalty (kick) / spot kick | △ 略語PKは北米中心 |
| PK戦 | penalty shoot-out | ○ |
| ハットトリック | hat-trick | ○ 語源はクリケット |
| 1試合2得点 | brace | ○ 日本語に定訳なし |
| 無失点 | clean sheet(米: shutout) | ○ |
| 股抜き | nutmeg | ○ |
| 強烈なロングシュート | screamer / worldie | ○ |
| 押し込みゴール | tap-in | ○ |
| GKと1対1 | one-on-one / through on goal | ○ |
| ゴールキック/コーナーキック | goal kick / corner kick | ○ |
| フリーキック | free kick | ○ |
| キックオフ | kick-off | ○ |
| ハーフタイム | half-time(英)/ halftime(米) | ○ |
| 延長戦 | extra time(米: overtime) | ○ |
| イエロー/レッドカード | yellow card / red card | ○ |
| 交代選手 | substitute / sub | ○ |
| 途中出場で活躍する選手 | super sub | ○ |
| 監督 | manager(英)/ head coach(米) | ○ |
| ピッチ | pitch(英)/ field(米) | ○ |
| スパイク(靴) | boots(英)/ cleats(米) | ✕ spikeでは通じにくい |
| ユニフォーム | kit(英)/ uniform(米) | △ |
| 得失点差 | goal difference | ○ |
| ゼロ点 | nil(英)/ zero, nothing(米) | ○ 2-0は "two-nil" |
| 予選 | qualifier | ○ |
| 代表チーム | national team | ○ |
この表の中で「✕」が付いた6語(ボランチ・サイドバック・シュートの名詞用法・ナイスシュート・ロスタイム・スパイク)を直すだけで、サッカー英語の通じ方が大きく変わります。作中の技名まで含めた完全版はブルーロックのサッカー用語・エゴ用語の英語まとめにまとめています。バレーボールで同じことをやったハイキュー バレーボール用語の英語一覧もあるので、スポーツ英語に興味のある方はあわせてどうぞ。
イギリス英語とアメリカ英語で変わる語
同じサッカーでも、英米で単語が入れ替わるものがあります。ブルーロックにはイングランド・ドイツ・フランス・スペインなどの舞台が出てくるので、この差を知っていると解像度が上がります。
| 日本語 | イギリス英語 | アメリカ英語 |
|---|---|---|
| ピッチ・グラウンド | pitch | field |
| タッチライン | touchline | sideline |
| ユニフォーム | kit | uniform |
| スパイク | boots | cleats |
| 監督 | manager | head coach |
| 無失点 | clean sheet | shutout |
| 試合 | match | game |
| 延長 | extra time | overtime |
| 0点 | nil | zero / nothing |
| 得失点差 | goal difference | point differential |
『ブルーロック』独自の用語は英語でどう訳された?
結論として、ブルーロックの独自用語は「既存の英単語を引用符でくくって特別な意味を持たせる」という手法で英訳されています。ここでいちばん信頼できる一次ソースが、英語版コミックの版元であるKodansha USAが公式サイトの各巻あらすじで使っている英語です。ライセンス版の版元が書いている以上、これが事実上の公式訳語になります。
エゴ=ego、エゴイスト=egoist/egotist
作品の核である「エゴ」は、そのまま ego。Kodansha USAの各巻あらすじには clash of egos(エゴのぶつかり合い)、battle of egos といった表現が並びます。
「エゴイスト」は少し複雑で、egoist と egotist の両方が使われています。
- egoist:哲学寄りの語。「自己の利益を行動原理とする人」。第3期のタイトル
Neo Egoist Leagueはこちら。 - egotist:日常語寄りで「自分の話ばかりする自惚れ屋」という含みが強い語。Kodansha USAのあらすじでは
the egotists compete(エゴイストたちが競い合う)のように使われています。
日本語の「エゴイスト」は英語の egoist と egotist の中間くらいのニュアンスで使われているので、この2語の存在を知っておくと、英語版を読んだときの手触りが変わります。ちなみに単に「わがまま」なら selfish ですが、ブルーロックの文脈では selfish はほぼ使われません。selfish は明確に否定的な語だからです。
out-ego という動詞まで生まれた
私が個人的にいちばん興奮したのが、Kodansha USA第1巻の公式あらすじにあるこの一文です。
Who will emerge to lead the team...and will they be able to out-muscle and out-ego everyone who stands in their way?
out- は「〜において上回る」を作る接頭辞で、outrun(走り勝つ)、outsmart(知恵で上回る)のように使います。つまり out-muscle は「フィジカルで上回る」、そして out-ego は「エゴで上回る」。英語として辞書には載っていない造語ですが、out- の作り方を知っている英語話者なら一発で意味が取れます。
「エゴイズムの強さで相手に勝つ」という、この作品でしか成立しない概念を、英語の造語ルールを使って1語で表現した。翻訳としてかなり見事だと思います。日本語の「エゴい」という形容詞も、英語だと so full of ego のように説明的にならざるを得ないところを、動詞化で切り抜けた例です。
「武器」=weapon、「化学反応」=chemical reaction
ブルーロックでは、各選手が持つ得意技を「武器」と呼びます。英語版では引用符付きの "weapons"。Kodansha USAのあらすじには side weapon(サブの武器)という派生表現も登場します。
- 武器 → "weapons":絵心の「武器を持てストライカーたち!」は、概ね
Take up your weapon, strikers!という趣旨で訳されています。 - 化学反応 → "chemical reaction":Kodansha USA第8巻のあらすじに
the team's ability to form a "chemical reaction" with their play styles(プレースタイル同士で化学反応を起こす能力)という一文があります。
面白いのは、どちらも引用符でくくられていることです。英語では "..." を付けることで「この語は通常の意味ではなく、特別な用語として使っています」と示すという慣習があります。日本語なら「〝武器〟」と山括弧やカギ括弧を使うところ。翻訳者が「これは作品内の専門用語だ」と読者に合図しているわけで、細やかな仕事です。
空間認識能力=spatial awareness、ダイレクトシュート=direct shot
主人公・潔世一の武器も、きちんと英語になっています。
- 空間認識能力 →
spatial awareness。spatialは「空間の」、awarenessは「気づき・認識」。実はこれ、サッカーのコーチングで実際に使われる英語で、「周囲の状況を把握する力」を指します。作品独自の造語ではなく、実在の競技概念を採用した訳です。 - ゴールの匂い →
Goal Scent/scent of a goal。scentは「香り・かすかな匂い」。猟犬が獲物の匂いを追うイメージの語なので、ストライカーの本能を表すのにぴったりです。 - ダイレクトシュート(直撃蹴弾) →
direct shot。派生形としてlefty direct shot(左足のダイレクトシュート)、two-gun direct volley(二丁拳銃ダイレクトボレー)といった表現も各巻のあらすじに登場します。
direct shot は英語のサッカー用語としてはやや珍しい言い方で、一般的には one-touch shot(ワンタッチシュート)や first-time shot と言います。作品が独自の呼称としてダイレクトシュートを使っているので、英語版もあえて direct shot で通した、と考えるのが自然でしょう。
メタビジョン・フロー(挑戦的集中)・覚醒の英語
残りの主要用語もまとめて押さえておきましょう。
| 日本語 | 英語 | メモ |
|---|---|---|
| エゴ/エゴイスト | ego / egoist / egotist | ─ |
| 青い監獄(ブルーロック) | Blue Lock | blue prison とは訳さない |
| ブルーロックプロジェクト | Blue Lock Project | ─ |
| 武器 | "weapons" | 引用符付き |
| 化学反応 | "chemical reaction" | 引用符付き |
| 空間認識能力 | spatial awareness | 実在のコーチング用語 |
| ゴールの匂い | Goal Scent | ─ |
| ダイレクトシュート | direct shot | 一般英語は one-touch shot |
| メタビジョン | "meta vision"(2語)/ Metavision(1語) | 媒体で表記が割れる |
| かいぶつ | "monster" | 日本語公式はひらがな表記 |
| 覚醒 | awakening | ─ |
| フロー(挑戦的集中) | flow state | 口語では "the Zone" |
| 反射的(思考) | "reflexive thinking" | ─ |
| ブルーロックイレブン | Blue Lock Eleven | ─ |
| ダイヤモンド世代 | the "diamond generation" | ─ |
| ネオエゴイストリーグ | Neo Egoist League / Neo-Egoist League | 公式内でハイフンが揺れる |
| 一次/二次/三次選考 | First / Second / Third Selection | 三次選考(適性試験)は Tryouts |
とくに flow state は、英語圏でも心理学用語としてそのまま通用する言葉です。日本語版が「挑戦的集中」という漢字に「フロー」とルビを振っているのに対し、英語版は説明を足す必要がなく flow state で完結する。口語では in the zone(ゾーンに入っている)とも言い、スポーツ中継でも頻出します。なお「メタビジョン」はKodansha USAが "meta vision"(2語)、ファンWikiが Metavision(1語)と表記が割れています。また絵心の言う「才能の開花」に対応する固定の英訳は、本記事の調査では一次ソースで確認できませんでした。
ブルーロックの名言・セリフを英語で楽しむ
結論として、ブルーロックのセリフは断定的・攻撃的・抽象的という、英語学習的にはかなり癖のある性質を持っています。ハイキューのような短い掛け声型ではなく、絵心の長い演説をどう英語にするかが読みどころです。ただし、はじめに大切な注意をひとつ。
【前提】媒体で訳が変わる。逐語より「ニュアンス」で味わう
以下に挙げる英文は、Crunchyrollの英語字幕を紹介している日本語サイトや、ファンコミュニティで流通している英訳をもとに、趣旨ベースで整理したものです。Kodansha USA公式の英語版コミック、Crunchyrollの英語字幕、英語吹き替え版では、同じセリフでも言い回しが異なります。実際、複数の解説サイトが「Crunchyrollは英語字幕と英語音声の英文が一致していない」と指摘しています。一言一句が公式訳と一致することを保証するものではありません(要確認)。
逐語の暗記ではなく「どんなニュアンスで訳されているか」を味わう素材として使うのが、正しい楽しみ方です。むしろ同じセリフの訳が媒体ごとに違うことこそが、翻訳の面白さでもあります。
絵心甚八の名言を英語で
この作品の名言と言えば、まず絵心甚八です。
- 「世界一のエゴイストでなければ、世界一のストライカーにはなれない」 → 概ね
You can't become the world's best striker unless you're the world's biggest egoist.という趣旨で訳されています。unless(〜でない限り)を使った条件文で、You can't A unless Bは「Bでなければ、Aできない」という強い型。英作文でもそのまま使えます。 - 「サッカーってのはな、相手より多く点を取るスポーツだ」 → 概ね
Soccer is about scoring more goals than your opponent.。A is about ~ing(Aとは〜することだ)は物事の本質を定義するときの定番表現で、英語らしい言い回しの筆頭格です。 - 「点を取った奴が一番偉いんだよ」 → 概ね
Whoever scores the most goals is the greatest.。whoever(〜する人は誰でも)で始まる名詞節が主語になっています。 - 「たまたま勝つな。勝つべくして勝ち奪れ」 → 概ね
Don't rely on chance to win. Win the game because you're meant to.。rely on chance(運に頼る)、be meant to(〜する運命にある・そうなるべくして)。 - 「武器を持てストライカーたち!」 → 概ね
Take up your weapon, strikers!。take upは「手に取る・身につける」。武器を取る、という古風で力強い言い回しです。
絵心のセリフは「A is about B」「You can't A unless B」「Whoever ~ is ~」といった定義の型が多いのが特徴で、実は英語のプレゼンや議論でそのまま使える構文の宝庫なんです。私はこの種の断定文を、英語で意見を言う練習の型として使っていました。
潔世一・蜂楽廻・糸師凛の名言を英語で
- 潔世一「自分より強いやつに勝たなきゃ、何も変われない」 → 概ね
Unless I beat someone stronger than me, nothing will change!。ここでもunless。beatは「打ち負かす」で、スポーツの文脈では最頻出の動詞です。 - 潔世一「もしあの場面でパスじゃなくてシュートを打ってたら」 → 概ね
If, in that moment, I hadn't passed, but taken the shot instead, would my fate have been any different?という趣旨。仮定法過去完了(If + had + 過去分詞 → would have + 過去分詞)で、「あのとき〜していたら、〜だっただろうか」という後悔を表す最重要構文です。instead(その代わりに)の位置にも注目。 - 蜂楽廻「俺の中に怪物がいるから」 → 概ね
There's a monster inside of me.。作中の日本語公式表記はひらがなの「かいぶつ」で、英語版でも"monster"と引用符付きで特別な語として扱われます。 - 糸師凛「殺し合いなんだよ。俺にとってサッカーは」 → 概ね
To me, soccer is a fight to the death.。a fight to the death(死ぬまでの戦い)という決まった言い回し。To me,(俺にとっては)を文頭に置く語順が、原文の倒置のニュアンスをうまく再現しています。 - 馬狼照英「ピッチの上じゃ俺がキングだ」 → 概ね
On the field, I am the king.。アメリカ英語なのでfield。イギリス英語ならOn the pitch,になるところです。
各キャラの名言をさらに深掘りし、Crunchyroll字幕・英語吹き替え・公式コミックの3媒体で訳を比較した記事はブルーロックの英語名言・セリフ集で公開しています。
作中でキャラが英語をしゃべるシーンはある?
これは検索でもよく尋ねられている疑問です。ブルーロックは海外リーグを舞台にした展開があり、ノエル・ノア、ミヒャエル・カイザー、ジュリアン・ロキ、レオナルド・ルナといった海外出身キャラが多数登場します。物語の設定上、彼らと日本人選手の会話は日本語以外の言語で行われているはずですが、日本語版アニメでは基本的に日本語で描かれます。
なお、特定の話数で糸師凛が英語のセリフを話す、という話題がファンコミュニティで繰り返し取り上げられています(Yahoo!知恵袋にも複数の質問が投稿されています)。ただし本記事執筆時点(2026年7月)で、該当シーンと話数を公式の一次ソースで確認することはできませんでした。話数の断定は避けます。
主題歌は曲名とアーティストだけチェック
主題歌も英語圏で人気です。第1期のオープニングはUNISON SQUARE GARDEN「カオスが極まる」、エンディングは仲村宗悟さん「WINNER」(仲村さんは我牙丸吟役の声優でもあります)。第1期後半のオープニングはAsh Da Hero「Judgement」、第2期のオープニングはUNISON SQUARE GARDEN「傍若のカリスマ」、エンディングはSnow Man「One」。劇場版の主題歌はNissy × SKY-HI「Stormy」、実写映画の主題歌はAdo「モンストロ」です。曲名を見るだけでも WINNER Judgement One Stormy と英単語率が高いのが分かります(著作権に配慮し、歌詞の引用は控えます)。主題歌の英語をまとめた記事はブルーロック 主題歌の英語まとめとして公開しました。アニメのOP/ED全7曲に劇中歌と実写映画の曲を加えた全12曲を一覧にしています。
英語版『ブルーロック』はどこで見られる?
結論として、英語音声で観たいならCrunchyroll、または英語圏(アメリカなど)のNetflixの2択です。ただし日本国内から普通に接続するだけでは、どちらでも英語音声を選べません。ここが最大の落とし穴です。
結論:英語音声はCrunchyroll、または英語圏のNetflix
まず配信の全体像を整理しておきます。アニメ公式サイトの「GLOBAL STREAMING」ページには、次のように書かれています。
- America / Oceania / Europe / Africa → Crunchyroll
- Asia and Regions of Oceania → Animax, Netflix, Ani-One Asia
つまりCrunchyrollは「アジアと日本を除く全世界」を担当しており、Crunchyroll自身の公式リリースにも available to stream worldwide on Crunchyroll, except in Asia and Japan と明記されています。英語吹き替えは第1期が2022年10月22日、第2期が2024年10月18日、劇場版が2024年10月17日から配信開始。2026年2月8日からはアメリカのAdult Swim「Toonami」でTV放送も始まりました。
一方のNetflixは地域差が大きく、日本のNetflixでは第1期・第2期が配信されていますが音声は日本語のみ(英語字幕はあり)、アメリカのNetflixでは英語吹き替え・英語字幕の両方が利用できます。劇場版はNetflixでは配信されていません(本記事執筆時点)。またNetflixの配信国リストは公式には公開されておらず、本記事では日本とアメリカのみ実際に確認しています。配信ラインナップ・対応言語・対応地域は時期によって頻繁に変わるため、視聴前に必ず各サービスの公式ページで最新の状況をご確認ください(要確認)。
配信サービス比較表
日本から利用できる主なサービスを、英語学習の観点で比較しました。
| サービス | 日本語音声 | 英語字幕 | 英語音声(吹替) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| Crunchyroll(英語圏サーバー経由) | ○ | ○ | ○ | 第1期・第2期・劇場版すべて英語吹替あり。最有力 |
| Netflix(アメリカ等) | ○ | ○ | ○ | 第1期は2026年4月25日、第2期は5月25日に追加(比較的最近)。日本のアカウントのままVPNで切替可能で、手軽さでは最有力 |
| Netflix(日本) | ○ | ○ | ✕ | 第1期・第2期。英語字幕だけなら日本からでもOK |
| Amazon Prime Video(日本) | ○ | ✕ | ✕ | 日本語のみ |
| U-NEXT | ○ | ✕ | ✕ | 日本語のみ |
| dアニメストア | ○ | ✕ | ✕ | 日本語のみ |
| Hulu(日本) | ○ | ✕ | ✕ | 日本語のみ |
| DMM TV / ABEMA | ○ | ✕ | ✕ | 日本語のみ。ABEMAは無料一挙放送の実績あり |
| 北米版Blu-ray / DVD | ○ | ○ | ○ | 買い切り。リージョンコードに注意 |
つまり日本国内向けのサービスは、英語字幕が付くNetflix(日本)を除いて、英語学習にはほぼ使えません。ここが、他のアニメ作品と比べてもはっきりしているポイントです。
日本からだと英語音声が選べない理由
なぜこうなるのか。配信サービスは、接続元の国・地域によって表示するカタログや音声・字幕のオプションを切り替えているからです。作品ごとのライセンスが国別に売買されている以上、日本からアクセスすれば日本向けのライセンス範囲——つまり日本語音声——しか提供されません。
Crunchyrollに至っては、そもそもアジアと日本が配信territoryから外れているため、日本から普通にアクセスしてもブルーロックの英語版は出てきません。「Crunchyrollに登録すれば見られる」ではなく、「英語圏からアクセスしている状態」を作らないと始まらないのです。
NordVPNで英語圏サーバーに接続する3ステップ
この壁を越える方法が、VPN(Virtual Private Network)で英語圏のサーバー経由でアクセスするというやり方です。手順はシンプルで、3ステップで終わります。
- ① NordVPNでアメリカなど英語圏のサーバーに接続する
- ② その状態で、いつも通り配信サービス(Netflix や Crunchyroll)を開く
- ③ 英語圏向けのカタログが表示され、英語音声・英語字幕で視聴できるようになる
NordVPNのようなVPNサービスで英語圏のサーバーに接続すると、あたかも海外からアクセスしているかのように扱われ、その国向けの配信カタログ・音声オプションが利用できるようになります。逆に言えば、VPNなしで日本から英語音声版のアニメを見るのは基本的に難しいという点にご注意ください。「VPNで接続先を変える → その状態で配信サービスを開く」という順番がセットで、英語版視聴の前提条件になります。
とくにブルーロックの場合、Netflixとの相性が良いのがありがたいところです。日本で使っているNetflixアカウントをそのまま使い、VPNでアメリカに切り替えるだけで英語吹き替え版にアクセスできる。新しいサービスに登録し直す必要がないぶん、心理的なハードルがかなり低いんです。NordVPNはVPNサービスの中でも利用者が多く、初めての人にも選ばれやすい定番です。まずは英語字幕だけ試したい方は、日本のNetflixでも英語字幕は選べるので、そこから始めるのもありだと思います。
劇場版・第3期の英語視聴について
劇場版『ブルーロック -EPISODE 凪-』は、Crunchyrollで2024年10月17日から英語吹き替え付きで配信されています。日本のサービス(dアニメストア、DMM TV、Hulu、Prime Video、U-NEXTなど)でも視聴できますが、こちらは日本語音声のみです。
第3期『ネオ・エゴイストリーグ』については、本記事執筆時点(2026年7月)で放送開始日も配信情報も公式に発表されていません。英語吹き替えの有無についても未発表です。過去2シーズンがCrunchyrollで英語吹き替え配信されていることから同様の展開が予想されますが、確定情報ではありません。配信サービスごとの詳しい違いや、英語字幕・英語音声への切り替え手順はブルーロックを英語で見る方法にまとめています。
英語字幕と英語吹き替えは別物。使い分けのコツ
意外と知られていないのが、英語字幕の英文と英語吹き替えのセリフは同じではないということ。字幕は「読める長さ」に収める必要があり、吹き替えは「口の動きと尺」に合わせる必要があるため、同じ日本語から別々の英文が作られます。
これは学習者にとってはむしろチャンスです。同じセリフの英語バリエーションを2つ同時に手に入れられるわけですから。ただし英語音声+英語字幕で観ると「聞こえる音と表示される文字が違う」という混乱が起きるので、最初は片方ずつに絞るのがおすすめ。私の場合は、1周目は英語音声+英語字幕なし、2周目は英語音声+英語字幕という順で観て、聞き取れなかった箇所だけ字幕で答え合わせをしています。
英語版漫画で学ぶ|Kodansha USA版と講談社バイリンガル版
結論として、ブルーロックは英語版漫画での学習に非常に向いた作品です。試合中の短い掛け声と、絵心の長い論理的な演説がはっきり分かれているので、自分のレベルに合わせて読む場所を選べるのが大きな利点です。
英語版は電子38巻・紙32巻(本記事執筆時点)
北米での英語版はKodansha USAが刊行しています。ここで大事な注意点があります。
Kodansha USAの英語版は、電子版(Digital)と紙版(Print)で刊行ペースがまったく違います。 公式サイトの各巻ページで発売日を確認したところ、本記事執筆時点(2026年7月27日)では次の状況でした。
- 電子版:第38巻(2026年6月16日配信)まで刊行済み
- 紙版:第32巻(2026年7月21日発売)まで刊行済み。第33巻は2026年8月18日発売予定=未発売
シリーズ一覧ページには「38 Volumes Available」と表示されますが、これは電子の巻数であって紙とは一致しません。「一覧に並んでいる=紙で買える」ではないのでご注意ください。
参考までに、日本語版は2026年6月17日時点で39巻。つまり英語版は電子でほぼ日本語版に追いつき、紙は7巻ほど遅れている、という状態です。「英語版は何巻まで出ている?」と調べるときは、どちらの版の話なのかを必ず確認してください。
英語デジタル版の配信は2021年3月16日にスタート、紙版の刊行は2022年1月に発表されました。そして3巻を1冊にまとめたオムニバス版(Print Omnibus)は、すでに刊行が始まっています。本記事執筆時点(2026年7月)でKodansha USA公式の各巻ページを確認したところ、Vol.1(2026年2月24日発売/608ページ/原作1〜3巻収録)、Vol.2(2026年4月28日発売/592ページ/4〜6巻)、Vol.3(2026年6月30日発売/592ページ/7〜9巻)の3冊が発売済みで、いずれも各22.99ドル、エンボス加工のカバーが特徴です。まとめ買い派にはこちらも選択肢になります。スピンオフ『Blue Lock: Episode Nagi』の英語版第1巻も2024年10月15日に発売されています。
【英語学習の最適解】講談社バイリンガル版デラックス
そして、「ブルーロックで英語を学びたい」という目的なら、いま一番おすすめできるのがこれです。
『バイリンガル版デラックス ブルーロック 1 BLUELOCK』(KODANSHA BILINGUAL COMICS、2025年9月19日発売、1,540円)。原作:金城宗幸/漫画:ノ村優介/翻訳:ネイト・ダー。
何がすごいかというと、コマの外に日本語、吹き出しの中に英訳という構成なので、辞書を引かずに読み進められること。分からない英文が出てきても、視線を少し外にずらすだけで日本語の原文が確認できます。しかも原本より一回り大きい判型で、英語も日本語も読みやすい。巻末には金城宗幸先生が描いた初期ネームも収録されています。
英語版漫画で挫折する最大の原因は「分からない単語を調べるのが面倒で読むのが止まること」です。バイリンガル版はその摩擦をほぼゼロにしてくれます。私も英語版漫画で学習を始めた頃、辞書を引くたびに集中が切れて何度も投げ出しかけました。「調べなくても意味が分かる」状態を作れるかどうかが、続くか続かないかの分かれ目だと本気で思っています。日本語版と英語版を2冊買うより安く済むのも利点です。
K MANGA・オムニバス版という選択肢
もうひとつ、講談社が運営する英語版マンガアプリ「K MANGA」という選択肢もあります。講談社作品の英語版を配信するサービスで、ブルーロック本編もスピンオフの『Blue Lock: Episode Nagi』も英語で読めます。
紙の本を買わずに、スマホで英語版を試し読みしてから購入を決められるのが便利なところ。「英語版漫画は自分に読めるだろうか」という不安がある方は、まずここで1話読んでみるのが手っ取り早いと思います。前述のオムニバス版(3巻分を1冊に。本記事執筆時点(2026年7月)でVol.1〜3が発売済み)も、コスト面・保管スペース面での選択肢になります。英語版漫画での具体的な学習法はブルーロックの英語版漫画で英語学習にまとめています。
難易度は「中」。長ゼリフと抽象語が最大の壁
TOEIC990点を持つ私の体感で言うと、ブルーロックの英語難易度は「中」です。他作品と比べると、次のような特徴があります。
やさしい要素
- 試合中の掛け声・短文が多い(
Pass!Shoot!Nice one!) - 同じサッカー用語が何度も出るので、一度覚えれば辞書を引く回数が激減する
- 話の展開を知っているので、推測しながら読める
難しい要素
- 絵心の演説が長く、抽象的。
complacency(自己満足)、mediocrity(凡庸さ)のような硬い語が出てくる - 心理描写のモノローグが多く、1コマあたりの文字量が多い
- 日常会話のシーンが極端に少ない。ある解説サイトの分析では、1話23分のうち日常シーンは約2分程度とされています
つまり「日常英会話を学びたい」という目的にはあまり向かず、「読解力と語彙を鍛えたい」「スポーツ英語を身につけたい」という目的には非常に向いている作品です。目的と作品のミスマッチが、アニメ英語学習で挫折する最大の原因なので、ここは正直にお伝えしておきます。
ブルーロックで英語を学ぶメリット・デメリット
ここまでを踏まえて、ブルーロックを英語教材として使うことの長所と短所を整理します。
メリット5点
- ①サッカー英語がまるごと手に入る。striker、offside、stoppage time、clean sheet といった実用語彙が、物語の中で何度も繰り返されます。海外サッカーを英語で追いかけたい人にとっては、これ以上ない入門教材です。
- ②セリフ量が多く、多聴・多読の量を稼げる。ある解説サイトの集計では、1話あたりの総英単語数は約2,400語。会話が途切れないので、耳に入る英語の絶対量が多いのが利点です。
- ③英語吹き替えが全シーズン揃っている。第1期・第2期・劇場版すべてにCrunchyroll制作の英語吹き替えがあり、英語音声で通しで観られる作品は意外と限られます。
- ④断定的な構文の宝庫。
A is about ~ing、You can't A unless B、Whoever ~ is ~といった、意見を強く言うときの型が繰り返し出てきます。ディスカッションやプレゼンで使える英語が身につきます。 - ⑤バイリンガル版という公式の学習用エディションがある。2025年に講談社から出た日英対訳版があるので、教材としての整備状況が他作品より一段上です。
デメリット・向いていない点4点
- ①日常会話にはほとんど使えない。「お会計をお願いします」「電車が遅れて」といった生活英語は出てきません。日常英会話が目的なら他作品を選ぶべきです。
- ②抽象語・比喩表現が多く、初級者には重い。絵心のセリフは日本語でも難解なので、英語だとなおさら。TOEIC600点未満の段階では、いきなり原書は厳しいと思います。
- ③日本国内の主要サービスでは英語音声が選べない。VPNという一手間が必ず必要になります。
- ④スピーキングの練習にはならない。これはアニメ学習全般の限界ですが、インプット専用の教材だと割り切ったほうがいいです。アウトプットは別途、音読やAI相手の会話練習で補う必要があります。
何話から始めるべき?おすすめの入り口
「英語版は何話から始めればいい?」という質問をよく見かけます。私のおすすめは次の3パターンです。
- とりあえず標準的に始めるなら → 第1話から。ただし第1話は絵心の説明セリフが長く、実は序盤がいちばん難しいという逆転現象があります。ここで挫折しないことが大事。
- 英語のハードルを下げたいなら → 二次選考以降の試合回から。試合シーンは短い掛け声と実況的な描写が中心なので、文字量が減って一気に読みやすくなります。
- サッカー英語を集中的に浴びたいなら → 第2期のU-20戦から。国際試合の文脈になるので、
national teamqualifierU-20といった語彙が大量に出てきます。
「最初の数話がいちばん難しい」という構造を知っておくだけで、途中で投げ出す確率はかなり下がります。
英語レベルの目安
複数の解説サイトの評価を総合すると、ブルーロックの英語難易度は「中」〜「中の上」という位置づけです。同じスポーツもののハイキュー!!が短い掛け声中心で「中の下」なのに対し、ブルーロックはモノローグと演説の比重が高いぶん一段難しい。目安としては、TOEIC600〜700点あたりから英語字幕、TOEIC730点以上で英語音声メイン、という進み方が現実的だと思います。
筆者おすすめの学習ステップ6段階
最後に、私が実際にやってきた進め方を6段階でご紹介します。競合記事の多くは「reading / listening / speaking」という3分類で終わっていますが、大事なのは順番と反復のしかたです。
ステップ1〜3:用語を固める→英語字幕→英語音声
- ステップ1:サッカー用語を先に固める。本記事の早見表を手元に置き、
digならぬshotcrossthrough ballstoppage timeあたりを頭に入れておく。試合シーンの理解度が段違いになります。用語を知らないまま観ると「知らない単語だらけだ」と感じますが、実際は同じ20〜30語が繰り返されているだけです。 - ステップ2:日本語音声+英語字幕で1話観る。まずは文字で追います。話を知っているので、字幕の英語表現そのものに集中できるのが利点。日本のNetflixでもこれは可能です。
- ステップ3:英語音声+英語字幕に切り替える。ここでVPNの出番です。音と文字を同時に浴びて、「この音がこの綴りなのか」という対応関係を作ります。前述のとおり字幕と吹き替えは文言が違うので、細かい不一致は気にしないこと。
ステップ4〜6:反復再生/スクリプト×AI活用/音読
- ステップ4:ダウンロードして反復再生する。配信アプリのダウンロード機能で端末に保存し、通勤・通学中にバックグラウンド再生します。同じ1話を5回聴くほうが、5話を1回ずつ観るよりずっと効きます。映像がなくても内容を知っているので、音だけで十分に追えるのがアニメ学習の強みです。
- ステップ5:スクリプトを探してAIに投げる。
Blue Lock scriptやBlue Lock transcriptで検索すると英語セリフの一覧が見つかります。引っかかった一文をコピーして、ChatGPTなどのAIに「このセリフのニュアンスと文法を解説して」と投げる。辞書では分からない語感やレジスター(硬さ・くだけ具合)まで拾えるので、私はこの方法を長く使ってきました。out-egoのような造語も、AIに聞くと「out- の接頭辞で〜」と解説してくれます。 - ステップ6:気に入ったセリフを音読・暗唱する。絵心の断定的なセリフは音読素材として非常に優秀です。
You can't become the world's best striker unless you're the world's biggest egoist.を10回声に出すだけで、unlessの使い方が体に入ります。VERSANT76点(80点満点中)を取れたのは、この「好きなセリフを声に出す」の積み重ねが大きかったと思っています。
【独自】サッカー中継の英語へ発展させる
ここからが、私がいちばんおすすめしたい発展形です。ブルーロックで覚えた語彙は、そのまま実際のサッカー中継で使えます。
プレミアリーグやチャンピオンズリーグの英語ハイライト動画(公式YouTubeチャンネルで無料公開されています)を観ると、What a strike! He's through on goal! And he finds the back of the net! といった表現がそのまま飛び交っています。アニメで覚えた語彙が現実の英語で通用する瞬間を体験すると、学習のモチベーションが跳ね上がります。
しかも中継の英語は、同じ状況で同じフレーズが繰り返されるので、聞き取りの練習として理想的です。ゴールが決まれば決まったなりのフレーズ、外れれば外れたなりのフレーズ。パターンが有限なんです。私はこの「アニメ→実際の中継」というルートで、サッカー関連の英語だけは異様に強くなりました。ブルーロックを入り口にすれば、同じことが誰にでもできます。
「勉強」ではなく「好きな作品の見返し」にする
最後に、いちばん大事なことを。アニメで英語を学ぶ最大の利点は、心理的なハードルの低さです。
英語の教材を開くのは気が重くても、好きな作品をもう一周するだけなら気楽にできる。しかも話の内容を大体知っているから、意味を追う負担が減って、英語そのものに集中できる。これは「勉強」ではなく「見返し」なんです。続かない教材は、どんなに優れていても意味がありません。
私はTOEIC990点・VERSANT76点(80点満点中)を留学経験なしで達成しましたが、その土台は間違いなく「好きな作品を英語で味わう」という習慣でした。「アニメで英語を学ぶ」という方法そのものの効果や始め方を体系的に知りたい方は、アニメ×英語学習の全体像をまとめた記事もぜひあわせてご覧ください。
まとめ|ブルーロック×英語の全体像
この記事では、『ブルーロック』の英語タイトルBlue Lock(BLUELOCK)の表記と意味から、劇場版の英題BLUE LOCK THE MOVIE -EPISODE NAGI-、キャラクターの英語名、サッカー用語の和製英語、エゴ=ego・武器="weapons"・化学反応="chemical reaction" といった作品独自用語の公式英訳、名言を英語で味わう視点、視聴方法と英語版漫画での学習法まで、「ブルーロック×英語」の全体像をご紹介しました。
とくに覚えて帰っていただきたいのは、①ロックは Rock ではなく Lock(閉じ込める)、②ボランチ・サイドバック・ロスタイム・ナイスシュートは英語では通じない、③シュートは名詞では shot、④絵心甚八の姓は英語で Ego という4点です。この4つを知っているだけで、英語版の見え方も、実際のサッカー中継の聞こえ方もまったく変わります。
留学経験なしでTOEIC990点・VERSANT76点(80点満点中)を達成した私が断言できるのは、「好きな作品を英語で味わう」という入口の楽しさが、学習の継続力に直結するということです。ブルーロックは、熱い物語と実用的なサッカー英語が同時に手に入る、稀有な教材だと思います。まずは英語字幕でもかまいません。第1話を開いて、Who will emerge to lead the team? の世界に飛び込んでみてください。